パート主婦のユリは、潔癖症の夫・ケンと中学生の息子・レン、そして厄介な義母と同居しています。ある朝ユリは、マヨネーズを直に舐める義母の姿を目撃。
ケンの指示でユリが調味料を処分すると、義母は「昔から舐めていた」と暴露し、「家族だからいい」と開き直ります。さらに、「私はキレイだから」と暴論を吐き、すすぎ中の洗濯機に汚れた下着を放り込みます。
そんな義母に、ケンとレンが矛盾を指摘すると、義母は「いじめだ!」と逆ギレして泣き叫ぶ始末。話し合いは不可能だと悟ったケンは「食事を別にする」と宣言し、義母の捨て台詞とともに完全分離生活がスタートしました。ユリたちは平和な食卓に感動しますが、ふと義母のキッチンが真っ暗なことに気づき、様子を見に行くと……?
本領を発揮する義母
「夕飯を作ってる気配も食べてる気配もない……。なんか、嫌な予感がする」
そう思った私は、義母の部屋の隣の旧キッチンが真っ暗なことに気づき、心配になりました。もし倒れていたら大変だからと、ケンを説得し、一緒に様子を見に行くことに。












「母さん?」
ケンさんが暗いキッチンの電気をつけると、そこには衝撃の光景が広がっていました。
キッチンの隅の床に座り込み、電気もつけずにカップ麺をすすっていた義母。ユリさんたちに気づくと、じとーっと見つめながら無言で麺をすすります。
「始まった……お義母さんお得意の悲劇のヒロイン劇場!」
ユリさんはすぐに察しました。これは本当に困っているのではなく、「私ってかわいそう」とアピールするための演出なのだと……。
どう声をかけるべきか迷うユリさんに、ケンさんは「ほっとけ! リビングに戻るぞ」と言いながら義母に冷ややかな視線を送ります。
「付き合うだけ無駄だ」
ユリさんはケンさんに腕を引かれ、その場を立ち去ろうとしたそのとき、背後からわざとらしいひとり言が聞こえてきました。
「はぁ、誰もいない。こんな暗いところで、ひとりでカップ麺なんて……。私、かわいそう」
突如始まった義母の被害者アピール。あまりの茶番劇に、ユリさんとケンさんは足を止め、絶句してしまったのでした。
◇ ◇ ◇
電気もつけずに床でカップ麺……。あまりにインパクトのある光景ですが、これが相手の罪悪感を刺激するために計算された演技だとしたら、その執念深さに背筋が凍りますね。
こちらの良心につけ込み、「かわいそう」と思わせて主導権を握ろうとする相手に、情けは禁物です。もし自分が同じ立場なら、心が揺らいでも「これはパフォーマンスだ」と強く自分に言い聞かせ、相手が期待する反応を返さないことが重要ではないでしょうか。「無視」をすることは冷たいことではなく、自分たちの生活を守るための立派な防衛手段だと割り切りたいですね。
著者:マンガ家・イラストレーター 小出ちゃこ 著者:原作者 福子

