「溶血性貧血の症状」で何が出ると”重篤サイン”になるかご存じですか?医師が解説!

「溶血性貧血の症状」で何が出ると”重篤サイン”になるかご存じですか?医師が解説!

血液は酸素や栄養素を運搬し循環させる、生きていくうえで欠かせない存在です。そんな血液が欠乏している状態のことを貧血といいます。

しかし、貧血といっても原因や特徴によって複数の種類に分類されることをご存じでしょうか?

今回はその中の1つである溶血性貧の予後と予防方法について解説します。貧血にお悩みの人も健康な体づくりを心がけている人もぜひ参考にしてみてください。

※この記事はメディカルドックにて『「溶血性貧血」とは?症状・原因・診断基準についても解説!医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

甲斐沼 孟

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)

大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。

溶血性貧血の予後と予防方法

並んで立つ医療従事者

溶血性貧血を放置するリスクを教えてください。

赤血球は酸素の運搬などの重要な役割を担っているため、不足した状態を放置してしまうと低酸素状態などの重篤な症状を起こす可能性があります。

思考力の低下なども生じてくるため、日常生活にも悪影響を及ぼしかねません。

黄疸などが出てくると重篤な状態のサインですので貧血症状がみられた時点で速やかに医療機関を受診しましょう。

完治する病気ですか?

溶血性貧血の治療にはステロイド治療が行われます。このステロイド治療は約80%の人に効果があるとされ、その中でも20%の人が治療の完了にいたるといわれています。

状態に応じてステロイドの量を調節し、完治を目指すのです。

そのほか、がんなどの病気によって発症した溶血性貧血の場合には、まず病気の治療を優先し、病気が治ることで溶血性貧血の改善もみられるというケースもあります。

溶血性貧血の予防方法はありますか?

溶血性貧血は赤血球を破壊する自己抗体の発生機序が分かっていないため、具体的な予防方法も明らかにされていません。

しかし、悪化を防ぐ方法はあります。ストレスや感染症によって悪化しやすい病気です。極力ストレスはためず、感染症対策に努めましょう。

また、病気が原因となる場合も少なくないため、定期的な血液検査などの健康診断を受けるなどして自身の体の健康状態を把握しておくこともおすすめです。

日常生活で気をつけることはありますか?

先ほどお話ししたように溶血性貧血は予防方法が明らかになっていない病気ですので、罹患してからのことでいいますと、以下のポイントがあります。

ストレスをためない

感染症に気をつける

自己管理を徹底する

ストレスや感染症は溶血性貧血の悪化に深く関係してきます。適度なストレス発散法をみつけ、外出時や人の多い場所での感染対策などを徹底しましょう。

また、早期発見につながるように定期的な健康診断もおすすめです。

最後に、読者へメッセージがあればお願いします。

貧血は低血圧な人や女性に多いイメージがあり、症状が出ても病院などの医療機関で診察をしてもらおうと考える人があまり多くない印象です。

しかし、放置しておくとどんどん赤血球が破壊されていき、黄疸や低酸素状態などの重篤な症状を発生させる場合も珍しくありません。

客観的に判断できる症状としては黄疸が挙げられますが、黄疸は重篤な状態を示していることもあり、周りが気付く頃には進行した状態に陥っている可能性があります。

自己免疫性溶血性貧血ともなると原因が分かっていないため、いつ症状が出てもおかしくない恐ろしい病気です。

体調に少しでも不調を感じたら「まさか」ではなく、「もしかしたら」という認識を持ち、自身で気づける状態のうちに医療機関を受診し、完治を目指しましょう。

編集部まとめ

新緑の中にいる笑顔の日本人女性
貧血自体は珍しい症状ではなく、体質や生活習慣などによって発生することも多いため軽視されやすい病気です。

しかし、「休めば治る」と放置しておくと日常生活のストレスなどで悪化していく場合も少なくありません。

早期発見できればステロイド治療による完治も望める病気であるため、動悸や息切れを感じたら医療機関の受診をおすすめします。

自身の不調を放置せずに、健康な体づくりを目指しましょう。

参考文献

自己免疫性溶血性貧血|厚生労働省

自己免疫性溶血性貧血|恩賜財団済生会

自己免疫性溶血性貧血(AIHA)(指定難病61)|難病情報センター

配信元: Medical DOC

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