スマホを長時間持っていると、重さを支える小指に負担がかかり、痛みやしびれ、さらには変形につながることがあります。とくに関節の関節包に炎症が起こると、進行して変形性関節症へ発展する恐れも。小指の変形や受診の目安について横山先生に解説していただきました。

監修医師:
横山 光輝(よこやま整形外科 手とリウマチクリニック)
金沢大学医学部医学科(現・金沢大学医薬保健学域医学類)卒業。その後、金沢大学附属病院、金沢医科大学病院および各関連病院にて勤務医として研鑽を積む。2022年、石川県金沢市に「よこやま整形外科 手とリウマチクリニック」を開院。手外科専門医として手、手関節、肘関節などの上肢の疾患のほか、骨折、脱臼などの外傷治療、膝関節および股関節などの人工関節治療、脊椎疾患などの一般的な整形外科疾患治療を含め、多くの診療と手術に携わる。日本整形外科学会専門医・認定リウマチ医、日本手外科学会専門医。前職は金沢医科大学氷見市民病院整形外科教授。
編集部
小指の変形についてはいかがですか?
横山先生
小指はほかの指よりも関節が小さいため、スマホの重みを支え続けていると、痛みやしびれ、変形などを起こす恐れがあります。ばね指の可能性もありますが、腱鞘ではなく、指の関節の「関節包」に炎症が起こっているかもしれません。この場合、進行すると「変形性関節症」となる可能性もあります。
編集部
もう少し詳しく教えてください。
横山先生
関節に重みがかかり続けることで、関節包に負担がかかり、炎症を引き起こします。炎症が繰り返されると関節包の組織が硬くなり、痛みを感じやすくなります。そして、いつの間にか軟骨部分が摩耗してしまい、先ほどのCM関節症と同様、小指の変形性関節症になりやすくなるのです。
編集部
医療機関に受診する目安はありますか?
横山先生
指を全く使わずに生活することはできません。そして、ばね指も変形性関節症も、使い続けることで悪化していく疾患です。早期に整形外科などの医療機関を受診することで、悪化を防ぐことができます。そのため、「少し指が痛いかな」「なんだか動かしにくいかも……」くらいのちょっとした症状でも、できるだけ早い段階で受診することをおすすめします。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
横山先生
電話としての機能はもちろんのこと、スマホでメールやゲームなどをする人は、かなり長い時間スマホに触っていると考えられます。とくに女性は、40代をすぎるとホルモンバランスの乱れで指の関節が痛みやすいとされており、スマホの使いすぎが加わることで、変形が一気に進むこともあります。ちょっとした痛みやこわばりだけだと、受診せずに我慢してしまい、変形に気がついて初めて受診するという人は多いですが、変形が進行したら元に戻すことはできません。したがって、こわばりや動かしにくさを感じたら、放置せずに手や指の治療を専門としている医療機関に相談することをおすすめします。※この記事はメディカルドックにて【その指の痛みや変形、スマホのせいかも!?「スマホ指」の症状や対策を医師が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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