「発達障害の子ども」の成長段階ごとの初期サインと注意点とは? 【専門家解説】

「発達障害の子ども」の成長段階ごとの初期サインと注意点とは? 【専門家解説】

発達障害の特徴は、成長段階によって表れ方が大きく異なります。幼児期、就学期、思春期と成長するにつれ、集団生活や学習、対人関係の中で困難さが浮き彫りになることもあります。それぞれの時期にどのような特徴が見られるのか、専門家に解説していただきました。

甘中 亜耶

監修公認心理師:
甘中 亜耶(公認心理師)

京都文教大学大学院 臨床心理学研究科修了。大学院修了後、発達相談を経験した後、2022年から児童精神科クリニックと保健所に勤務。精神疾患やメンタルヘルスに関して「正しい情報を分かりやすく伝える」をモットーにフリーランスのライターとしても活動している。

編集部

発達障害がある乳児期の子どもの特徴を教えてください。

甘中さん

乳児期(出生~1歳半ごろ)の自閉スペクトラム症の子どもの中には「指さしをしない」「名前を呼んでも振り向かない」「表情が乏しい」などの姿が見られることもありますが、特性が見られない子どもも多くいらっしゃいます。ADHDとSLDは、特徴が表れにくく専門家でも気づくことが難しいのです。乳児期は、発達の個人差が非常に大きい時期なので、この時期に気になっていた子どもが成長するにつれ気にならなくなったり、逆に育てやすかった子が成長するにつれ困難を示したりすることがあります。

編集部

幼児期の子どもでは、どのような特徴がありますか?

甘中さん

幼児期(1歳半~6歳ごろ)の自閉スペクトラム症とADHDの子どもは、同年代の子どもに比べて「集団より自分の思いを優先させることが多い」「癇癪が酷い」「落ち着きがない」などの姿が見られます。危険が分からない、危険な場面でも衝動性が抑えられないこともあります。まず、安全を確保することが大切です。

編集部

就学期の子どもについてはどうでしょうか?

甘中さん

就学期になると自閉スペクトラム症では「友達とうまくコミュニケーションがとれない」「計算式は解けるのに文章問題で躓く」、ADHDでは「授業中じっとできない」「忘れ物が多い」などの特徴が見られます。また、SLDは就学期に学習が始まることで表面化してきます。授業の内容はよく理解できているのに「読む」「書く」「計算」など特定の活動で躓くといったことが起こります。

編集部

思春期の時期では、どのような特徴がありますか?

甘中さん

思春期は、特性そのものの困難さに加え、特性のために同年代の集団の中でトラブルがおこりやすい時期になります。「変わり者」「自分勝手」「行動が遅い」などでいじめの対象になりやすく、うつや不安障害を引き起こすことがあります。

※この記事はメディカルドックにて【子どもの発達障害が気になる方へ 発達障害の特徴や種類、接し方を解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

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配信元: Medical DOC

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