網膜剥離の手術と合併症、術前・術後の注意点

網膜剥離の手術にはどのような合併症がありますか?
網膜剥離の手術後には、手術中にみつからなかった裂孔や新たな裂孔により再剥離が起こることがあります。また、増殖性硝子体網膜症のように膜が網膜を引っ張ることで再剥離や視力障害を引き起こすこともあります。
そして、ごくまれに駆逐性出血や眼内炎などの重篤な合併症が発生し、視力を大きく下げてしまう、あるいは追加治療を伴う場合もあります。そのほかにも、術後には白内障の進行や眼圧上昇、角膜混濁、黄斑浮腫などの合併症も起こりえます。
これらの合併症は頻度としては低いものの、早急な治療が必要な場合があります。気になる症状がある場合は早めに医師に相談しましょう。
網膜剥離の術前に気を付けることを教えてください
網膜剥離と診断されたら、手術を受けるまでの間は安静に過ごすことが大切です。激しい運動や長時間の移動は避け、目のケガにも注意しましょう。手術当日は医師の指示に従い、必要があれば食事や服薬の制限を守ります。局所麻酔で行う場合が多いですが、場合によって全身麻酔になることもあるため、前日夜からの絶飲食など指示が出ることがあります。
いずれにせよ主治医や看護師から説明のあった術前準備を行うようにしてください。さらに、入院が必要な手術の場合は事前に入院の準備をしておきましょう。網膜剥離手術では術後にしばらくうつむき姿勢が必要になる可能性が高いため、入院中にその姿勢で過ごせるよう、必要なクッションや枕などがあれば用意しておくとよいでしょう。
網膜剥離の手術後はどのようなことに気を付けるとよいですか?
網膜剥離手術後は、ガスやオイルを用いた場合にうつ伏せなどの体位を保つ必要があり、1~2週間程度は安静が求められます。また、目の酷使や激しい運動、長時間の入浴や飲酒は控え、医師の許可が出るまでは慎重に過ごしましょう。
手術後の目薬はいくつか種類がありますが、医師の指示どおり継続し、定期的な診察で経過を確認します。眼内ガスがある場合は飛行機や高地への移動は禁止です。また、術後は目をこすることはできず、洗顔や洗髪も許可が出るまで行えません。
そして、何よりももし経過観察中に違和感や視界の異常を感じたら、できるだけ早めに相談し、必要であれば病院を受診してください。
編集部まとめ

網膜剥離は、適切な手術治療によって多くの場合で網膜をもとの位置に戻し視力低下を防ぐことが可能な病気です。しかし、剥離が黄斑部に及んでいたり、剥離した状態が長期間続いて網膜組織がダメージを受けたりしていると、手術で網膜を戻せても視力が十分回復しないこともあります。もし視界に飛蚊症や光視症が突然増えた、視野の一部が見えづらいといった網膜剥離の前兆があれば、できるだけ早く眼科医の診察を受けましょう。正しい知識と迅速な対応が視力を守ることにつながります。
参考文献
『網膜剝離』(日本眼科学会)
『網膜剝離』(日本医師会)

