血圧測定で下の血圧が100を超えた場合に気をつけたい病気・疾患
ここではメディカルドック監修医が、「下の血圧が100を超えた」場合に気を付けたい病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
高血圧
血圧が高い状態が持続している病気です。高血圧は、以下の基準のいずれかを満たすと診断されます。
診察室血圧:140/90mmHg以上
家庭血圧:135/85mmHg以上
上下どちらか片方だけでも「高血圧」と診断されます。
原因
多くの場合、明らかな原因はありませんが、以下の要因が複合的に関与して発症します。
塩分過多の食事
遺伝的要因
生活習慣(運動不足・喫煙・飲酒など)
加齢
一方、二次性高血圧といって、以下のものが原因となるタイプもあります。
腎臓の病気
ホルモンの異常(内分泌疾患)
薬剤(NSAIDs、甘草製剤、交感神経刺激薬、グルココルチコイド(ステロイド)、シクロスポリンなどのカルシニューリン阻害薬、エストロゲン製剤、一部のがん分子標的薬など)
治療と受診
治療の基本は、食事(減塩、低脂質など)、運動といった生活習慣の見直しです。それでも改善が不十分な場合や、動脈硬化リスクが高い場合には、血圧を下げる薬による治療(降圧薬)を行います。
二次性高血圧では、原因となる病気の治療が第一になります。高血圧は自分で気づかないうちに進行する可能性があるため、症状がなくても、内科の受診が勧められます。
脳卒中
脳卒中は、以下の3つに大きく分けることができます。
脳の血管が詰まる:脳梗塞
脳の血管が破れて出血する:脳出血
脳を包む膜の間(くも膜と軟膜の間)に血液がたまる:くも膜下出血
主な症状
共通して見られやすい症状は、以下の通りです。
意識障害
手足の麻痺
ろれつが回らない・言葉が出ない
めまい・ふらつき
とくにくも膜下出血では、突然の今までにない激しい頭痛が特徴的です。
緊急時の対応
脳卒中は一刻を争う病気なので、症状があれば以下の対応が必要です。
夜間、休日であっても救急車の要請
脳神経内科・脳神経外科のある専門病院を救急受診
心筋梗塞
心臓を栄養している動脈(冠動脈)が突然詰まってしまう病気です。以下のプロセスで発症します。
冠動脈内のプラーク(コレステロールのかたまり)が破綻
破綻したところに、血栓(血のかたまり)が付着して血管を塞ぐ
発症の背景
動脈硬化を起こすような、以下の背景があると起こりやすいとされています。
高血圧
糖尿病
脂質異常症
喫煙
家族歴
主な症状と受診
症状としては、以下のものが典型的です。
突然の胸痛・胸の締めつけ感(絞扼感)
数分〜15分以上続く痛み
数分でよくならない突然の胸痛があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。循環器内科で、カテーテル検査・治療などの専門的治療が必要になります。
慢性腎臓病(CKD)
腎臓の働きが徐々に低下していく病気です。
主な原因
高血圧
糖尿病
加齢による変化
腎炎
遺伝性の腎疾患
治療と進行
高血圧や糖尿病をきちんとコントロールし、減塩を中心とした食事療法を行うことで、腎機能低下の進行を遅らせることができます。
悪化すると人工透析が必要になることもあるため、早めの予防と治療が重要です。
受診の目安
以下のいずれかに該当する場合は、腎臓内科の受診を検討しましょう。
健康診断で:腎機能の悪化や尿たんぱくを指摘された場合
症状として:尿が少ない、むくみやすいがある場合
血圧測定で下の血圧が100を超えた場合の正しい対処法・改善法は?
医療機関へ相談
まずは内科、できれば循環器内科を受診しましょう。
以下の場合には救急車の要請が必要です。
突然の激しい頭痛
ろれつが回らない
手足の麻痺
胸痛や息苦しさ
視野が欠ける・見えづらい
症状がない場合には、
まず生活習慣の見直し
それでも高血圧が続けば、血圧を下げる薬による治療(降圧薬)
という流れで治療が行われます。
血圧を定期的に測定
血圧は、以下の影響を大きく受けます。
不安・緊張
ストレス
食事内容
飲酒
睡眠不足
そのため、1回血圧が高いだけで高血圧とは判断しません。
とくに「診察室でのみ高血圧になる」人もいるため、家庭血圧が非常に重要です。
測り方の目安
期間:5~7日程度測り、平均をとります。
朝:起床後、排尿をすませ、朝食前・薬を飲む前
夕方:食事や入浴の前
このような条件で測定し、家庭血圧の平均値が135/85mmHg以上であれば、医療機関の受診が勧められます。
生活習慣の改善
高血圧は、生活習慣の改善が治療の土台です。
適度な運動
食生活の改善
肥満の解消
薬でも血圧は下げられますが、生活習慣を整えることで、
薬の開始を遅らせられる
必要な薬の量を減らせる
という可能性があります。
運動に関して
理想は1日30分程度の有酸素運動(散歩・速歩など)
難しければ、一駅分歩く、エスカレーターではなく階段を選ぶ
など、「今より少しだけ増やす」ところから始めると続けやすくなります。
食事に関しては以下の通りです。
減塩(目安は1日6g未満を意識)を心がける
飽和脂肪酸やコレステロールを控える
食物繊維を多めにとる(野菜・海藻・豆類など)
肥満の解消に関しては以下の通りです。
運動や食事に気をつけることで、肥満の解消にもつながります
体重が減ること自体にも、血圧を下げる効果があります
つまり、生活習慣の改善は、
「血圧の低下、脂質や糖代謝の改善」
「体重の減少」
に同時に効いてくるので、まさに一石二鳥といえます。

