
ライブハウスを出た瞬間、「私、ファンなんです!」と若い女性が勢いよく駆け寄ってきた——。モノモース(@mono_moosu)さんの今回の漫画は、胸がときめきそうなこんなシーンから始まる。出待ちまでしてくれるなんて…と胸がじんわり熱くなる。自分の活動を誰かがこんな風に追いかけてくれる。そんな実感だけで、足取りが少し軽くなるほどだった。
■ライブの出待ちで起きたうれしい勘違い



彼女の言葉に浮かれ気分のまま歩を進めていると、さらにもう一人「私、ファンなんです!」と別の女性が飛び込んできた。まさか立て続けにファンだと言われる日が来るなんて…と感動しながらも、どこか違和感が残る。なぜか二人の雰囲気が妙に似ているのだ。胸の奥で「…ん?」と小さな引っかかりが立ち上がる。
■“ファン”はファンでも、えっ! そっち!?
そして三人目。こちらを見つめる赤い頬の女の子風シルエットに向かって「もしかして君もファン?」と聞けば、返ってきたのはまさかのひと言。「いえ、私はただの扇風機です」。あまりにも堂々とした自己紹介に、思考が数秒止まる。首を横に振る仕草が“否定モード”に見えるあたりまで含めて、完璧なオチが用意されていたようで、読者はもう頬が緩むしかない。
■シンプルな構造なのに破壊力抜群のギャグ
モノモースさんによれば、この作品は“オチが先に決まり、そこから逆算して組み立てた”タイプのネタだという。ファン=追っかけとファン=扇風機という言葉遊びは定番だが、“扇風機に女の子の服を着せて出待ち風にする”発想が、漫画としての完成度を一段押し上げている。短い4コマの中で世界観も状況も一気に伝わるシンプルな線の魅力が、ここでもキラリと光っている。
現在モノモースさんは、タウンワークマガジンで「はたらく4コマ」を連載中。日常のちょっとしたズレや勘違いが、これほど鮮やかな笑いに変わるのかと毎回驚かされる作品ばかり。今回の4コマも、そのセンスを存分に味わえる一本だ。
取材協力:モノモース(@mono_moosu)
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