肥厚性皮膚骨膜症の前兆や初期症状について
肥厚性皮膚骨膜症の初期症状は、主に10代初期から現れ始めます。
最初に気づかれやすいのは、皮膚の肥厚やばち指の形成です。
手のひらの多汗症状や額のシワの増加、顔面の油性光沢の増加、白色の丘疹の出現なども徐々に目立つようになります。
年齢が進むにつれて症状は進行し、20代に近づくと長管骨の骨膜性骨肥厚がレントゲン検査で確認できるようになります。
この頃になるとふくらはぎの骨が少しずつ腫脹し始め、正座が難しくなる場合もあります。
20代前後になると頭部に特徴的な脳回転状皮膚が出現し、頭皮にシワが見られるようになります。
その他に起こる可能性がある合併症として、皮膚のざ瘡、目瞼下垂、リンパ浮腫、関節痛、関節水腫、胃・十二指腸潰瘍、非特発性多発性小腸潰瘍症、低カリウム血症、貧血、発熱などが挙げられます。
肥厚性皮膚骨膜症の症状は個人差がありますが、10数年進行した後に安定する症例や、50歳を過ぎても進行するケースもあります。
女性では40代までに3つの主症状がすべて揃わないこともあります。
肥厚性皮膚骨膜症の検査・診断
肥厚性皮膚骨膜症は、3つの主症状の有無や類似疾患との鑑別診断、遺伝子変異の確認、合併症の評価などにより診断されます。
診断のためにレントゲン検査や頭部MRI検査、遺伝子検査、血液検査などをおこないます。
レントゲン検査
長管骨の骨膜性骨肥厚を確認するために単純レントゲン撮影をおこないます。腕や脚の骨に見られる特徴的な変化を観察できます。
頭部MRI検査
頭部MRI検査は脳回転状皮膚の評価に用いられます。
MRI検査によって特徴的な皮膚の変化が詳細に観察できますが、場合によっては視診でも確認できることがあります。
遺伝子検査
遺伝子変異の特定には採取した血液を用いた遺伝子検査がおこなわれます。
SLCO2A1遺伝子やHPGD遺伝子のどちらかの変異があれば、肥厚性皮膚骨膜症の可能性が高まります。
血液検査
血液検査は主に鑑別診断のために実施され、二次性肥大性骨関節症、成長ホルモン過剰症、高アルカリフォスファターゼ血症などの類似した疾患を除外するために、さまざまな血液マーカーを調べます。合併症の評価や全身状態の確認にも役立ちます。

