
松本若菜と鈴木保奈美が出演するドラマ「対決」(NHK BS※全5話)が、2026年春に放送される。この度、松本、鈴木とともに、脚本・渡邉真子氏、音楽・小山絵里奈氏、演出・池田千尋氏よりコメントが寄せられた。
■無数の理不尽に直面してきた二人の信念がぶつかり合う
本作は、月村了衛による同名小説を原作に、幸せを願い理不尽に立ち向かう女性たちを描く社会派エンターテインメント。
ある医大が入試の採点過程で女子の点数を意図的に下げているという衝撃的な「噂(うわさ)」を耳にした新聞記者・檜葉菊乃(ひばきくの/松本)は、独自の調査を始め、医大の理事である神林晴海(かんばやしはるみ/鈴木)に目をつける。巧みに追及をかわす神林だが、突破口はそこしかないと考え、檜葉は粘り強く核心へと迫っていく。
男性優位の社会で、無数の理不尽に直面してきた二人。それぞれの信念がぶつかり合い、敵対せざるをえない彼女たちの闘いが展開される。
■松本若菜「小さくても何か残っていただけるなら、私自身にとっても大きな誇り」
“女性は結婚や出産があるから戦力にならない”。昔よく耳にしたこの言葉に、女性である私自身も違和感を覚えました。変わらない、変えられない現実の中で、無意識に染み込んでいた実感もあります。性別を理由に、本来得られるはずの評価が頂けなかったり、選べるはずの未来が閉ざされたりするのは本当に残念なことだと思います。能力や努力の成果で評価されるべき場面が、属性や偏見によってねじ曲げられてきた。そのような体質が、長い時間をかけて根を張ってきたのだと感じます。
それでも世の中は、少しずつですが変わってきているように思えます。女性が一時的に職場を離れる時期があったとしても、長い目で見れば女性が社会にもたらす力はとても大きい。私はそう信じています。
この作品を見てくださる方の心に、小さくても何か残っていただけるなら、菊乃を演じる私自身にとっても大きな誇りです。ぜひご覧ください。
■鈴木保奈美「一つの出来事には関わる人の数だけ理由があり、理由の数だけ物語がある」
誰と誰の、あるいは何と何の「対決」なのか、ということをずっと考えています。
一つの出来事には関わる人の数だけ理由があり、理由の数だけ物語がある。一つの正解はなく、勝ち負けもない。霧の中を手探りで進むような、けれど確実に先に光は見えている。そんなイメージを保ちつつ取り組もうと思います。
■脚本・渡邉真子「立場が違えば、物事の正しさも変わるものなのかもしれない」
“正しい”世の中がいいに決まっている。だけど、それは誰にとっての正しさなのか。立場が違えば、物事の正しさも変わるものなのかもしれない。原作を拝読した時に、そんなことを感じました。月村先生が書かれた原作が放つメッセージは、大変感慨深く、今の時代にふさわしいもので、私も脚本を書かせていただくのに、とてもやりがいを感じるものでした。
松本若菜さん、鈴木保奈美さんが演じてくださる姿をイメージしながら執筆に向かうと、どんどんキャラクターが動き出し、大変筆が進みました。立場も年齢も違う、対立する二人の女性を、私も一視聴者として大ファンのお二人がどのように演じてくださるのか、とても楽しみです。皆さま、ご期待ください。
■音楽・小山絵里奈「作品に込められた痛みと希望を、音楽でそっと包み込みたい」
このドラマは、静かな怒りと深い祈りが交差する物語でした。ままならない現実の中で、差別や葛藤と向き合いながら、それでも誰かの未来を守ろうとする、そんな二人の主人公の“対決”の姿に、私は、音楽で寄り添いたいと思いました。
母と娘、記者と理事、そして過去と今。それぞれの選択が交差する瞬間に、言葉にならない彼女たちの思いを、そっと音楽で伝えたい。私自身も母であり、女性として社会と向き合ってきました。だからこそ、この作品に込められた痛みと希望を、音楽でそっと包み込みたかった。視聴者の皆さんが、登場人物たちの声なき声に耳を澄ませてくださることを願っています。
■演出・池田千尋「誰が悪いかを暴くものでも、何が正しいかを定めるものでもない」
彼女たちは一体何と「対決」しているのか、最初に考えたのはそれでした。
このドラマは、誰が悪いかを暴くものでも、何が正しいかを定めるものでもありません。人は「正義」を手にした時、自分の正義以外を攻撃してしまうことがある。人はみなそれぞれに違うという当たり前のことを忘れてしまう。対決するとしたら、そんな自分自身とではないか。人によっていろんな正義がある、みんな一生懸命に生きている。それでいいんだという思いで、これから撮影に向かいます。
ドラマにリアルな厚みを持たせてくださるだろう素晴らしいキャストの皆さんの競演をぜひお楽しみください。

