望月記者のX投稿めぐる訴訟で立花孝志氏敗訴、立花氏の言動による元県議の「社会的評価低下」も認定…東京地裁

望月記者のX投稿めぐる訴訟で立花孝志氏敗訴、立花氏の言動による元県議の「社会的評価低下」も認定…東京地裁

東京新聞の望月衣塑子記者によるX(旧ツイッター)の投稿で名誉を傷つけられたとして、「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏が、160万円の損害賠償を求めていた訴訟で、東京地裁は12月16日、請求を棄却する判決を言い渡した。

判決はあわせて、立花氏が、すでに亡くなっている竹内英明元兵庫県議に対して社会的評価を低下させるような発言を繰り返していたことを指摘した。

判決後の記者会見で、望月記者の代理人をつとめる石森雄一郎弁護士は、このような裁判所の踏み込んだ認定は「初めてではないか」と述べた。

●問題とされた望月記者の投稿

判決文によると、望月記者は、兵庫県議会の百条委員会の委員だった竹内元県議が亡くなっているのが見つかった翌日の今年1月19日、自身のXに次のように投稿した。

「立花孝志氏の言動がまたひとつの悲劇を生んだ。元兵庫県議・竹内英明氏が自ら命を絶ったと見らるている。背景に、立花氏が『犬笛』を吹き続けた結果、SNS上での誹謗中傷がエスカレートしたとの指摘がある」(原文ママ)

この投稿は、およそ10分後に一部が修正された。

立花氏は、この投稿について、自身の支持者に竹内氏への誹謗中傷を呼びかけ、自らを「竹内氏を自死に追いやるような行為に及ぶ危険な人物」と印象づけ、社会的評価を低下させるものだと主張していた。

●真実相当性が認められた

判決で、東京地裁の加本牧子裁判長は、投稿は立花氏の社会的評価を低下させたと認めた。一方で、望月記者が、立花氏の言動の影響のもとに竹内氏への誹謗中傷が過熱したことなどが真実であると信じたことに相当の理由があったと認め、名誉毀損は成立しないと結論づけた。

また判決は、立花氏について、兵庫県議選の選挙期間中の2024年11月ごろから、「自身の発言が広く拡散されるような手段を用いて、竹内元県議の政治家としての社会的評価を著しく低下させるような発言を繰り返していた上、その居場所の特定を促すような呼びかけまでして、聴衆を煽るような言動をしていたことが認められ」ると踏み込んだ。

望月記者の代理人をつとめる石森弁護士は、判決後の会見で「竹内元県議に関する立花氏の言動が、(裁判所に)認定されたのはおそらく初めてではないかと思う」と語った。

立花氏は、亡くなった元県議を中傷したとして、名誉毀損罪で起訴されている。現在まで保釈は認められていない。なお、石森弁護士は、告訴人である元県議の妻の代理人もつとめている。

判決を受けて、望月記者は、訴訟の弁護士費用などについて支援を受けたことに感謝の言葉などを述べた。

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