【東大阪】笑い声が運んでくる、たまごとケチャップの香り。【カフェ・サントノーレ】

午後3時、ミルクレープの魔法

3時をまわると、「甘いものだけ食べに来ました」という顔の人たちがちらほら現れる。

この店のミルクレープは、派手な飾りはない。何層にも重ねられたクレープ生地と、やさしい甘さのクリーム。フォークを入れると、静かにほどけていく。

甘すぎない。でも、物足りなくもない。生クリームのまろやかな脂肪分が、口の中にふわっと残って、しばらく余韻が続く。

もうひとつの人気者、デニッシュトースト。外はサクッと、中はじゅわっとバターが染みている。そこに冷たいバニラアイスと、とろりとかけたメープルシロップかチョコソース。あたたかさと冷たさ、甘さと香ばしさのバランスが絶妙で、飽きがこない。

午後のまどろみの中で、小さなごほうびになる甘さ。「今日もちょっとがんばった」と思える味が、ここにはある。

ちいさな入口の、その奥に

「サントノーレ」があるのは、ブランドーリ2番街のちょうど真ん中。こぢんまりとした入口を抜けると、1階と2階に客席が広がっている。

2階の窓際から見えるのは、布施の日常。買い物帰りの人、仕込み中の飲み屋、歩幅のちがう人たちが行き交っている。

その窓辺には、いつものマダムたち。ケーキをひと口ずつ味わいながら、笑い声をあげて、おしゃべりに花を咲かせている。その声が天井にふわっと跳ね返って、店の空気までやわらかくなる。

喫茶店って、たぶんこういう場所なんだと思う。おしゃべりも、沈黙も、どちらも過ごしていい時間として受け止めてくれる。

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