
監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
放射線皮膚炎の概要
放射線皮膚炎は、主にがんなどの病気の治療で使う放射線治療で起こる皮膚トラブルです。「放射線皮膚障害」などとも呼ばれます。
近年、放射線治療の技術も進歩し、皮膚への影響を最小限に抑えられるようになってきました。しかしそれでも、皮膚炎が生じる場合があります。症状は、放射線が照射されてから約2週間後に生じるとされています。
また、繰り返し放射線に被ばくすることで、皮膚がんの発症リスクが高まる可能性もあります。

放射線皮膚炎の原因
放射線皮膚炎の原因は、主に病気の治療で使う放射線治療です。
人の皮膚は、たくさんの細胞で構成されています。細胞の中には、生命の設計図であるDNAを含む核があり、その周りにはさまざまな物質が存在しています。
放射線が皮膚に当たると、ビリヤードの玉がぶつかって動き回るように、細胞の中の「電子」がはじき飛ばされます。はじき飛ばされた電子は、細胞の中を無秩序に動き回り、行く先々で細胞を傷つけていきます。重要なDNAに傷がつくと、細胞は正常に働けなくなったり、死んでしまったりすることがあります。
また、放射線によってはじき飛ばされた電子は、水分子とも反応して「活性酸素」という物質を作り出します。活性酸素は周りの細胞を傷つける可能性がある物質です。特に、常に新しい細胞に生まれ変わっている皮膚の表面の細胞は、影響を受けやすい特徴があります。
さらに放射線は、皮膚の中を走る細い血管にも影響を与えます。血管が傷つくと、皮膚に必要な栄養や酸素が十分に届かなくなり、皮膚の回復力低下につながります。
こうした仕組みから、同じ場所に繰り返し放射線が当たることで、皮膚細胞の損傷が蓄積しやすくなり、さまざまな症状を引き起こしたり、皮膚がんを併発したりすることがあります。

