「努力次第でさまざまな可能性が広がる」 料理人の笠原将弘さんが実感した“料理人の魅力”とは…

「努力次第でさまざまな可能性が広がる」 料理人の笠原将弘さんが実感した“料理人の魅力”とは…

イチローから学んだ“緊張しない秘訣”


笠原さんは“料理人の魅力”について、自分の好きなものを自由に作れることや、努力次第でさまざまな可能性が広がる点を挙げている。

「僕も和食一筋で35年やってきて、おかげさまで自分のお店を持つことができました。例えば、ホテルの料理長になりたいとか、海外で仕事がしたいといった夢も、料理人なら全てできる。社長にもなれるし、本だって出せますよ。僕なんか昔から『オールナイトニッポン』を聞いていて、いつかラジオ番組をやりたいなと思っていたら、今ラジオをやっているわけですよ」

頑張りさえすれば、料理人はいろいろなことを実現できると笠原さんは力説する。

「料理番組も大好きでよく観ていましたが、今は毎週生放送に出ている。あと、学校で料理を教えたり、食育で給食に携わったりして、自分の母校にも何回も行きました。あれだけ勉強もしない悪い子どもだった笠原が母校に呼ばれるようになるわけですからね」

頑張る上で大事にしているのは、決して手は抜かないが、肩の力を抜いて飄々とやること。

「気合いを入れると空回りしたりして、意外と失敗すると思うんです。何かの本で読んだ『なめてかかって真面目にやれ』という言葉が好きで、それを仕事のモットーにしています。だから緊張をしない。例えば、喋る仕事をするときも、そもそも本業じゃないんだから緊張する必要がないだろうと思っちゃう。かつらむきを10メートルやってくださいって言われたほうが、本業だから失敗できないと思って緊張します(笑)」

人はなぜ緊張するのかを、イチローさんがお客様として来店された際に聞いたことがあるという。

「『イチローさんは緊張とかしないんですか?』って言ったら『しないですよ』って。『なぜですか?』って聞いたら『かっこつけようとするから緊張するんですよ。いざというときにいつも通りにしてればいいんですよ』って。だからイチローさんは毎日カレーを食べているんだって思って(笑)。僕も女性の前ではかっこいいと言われたいと思ってしまう。でも、それが緊張を生んでいるわけですよ」

料理の仕事は本気でやればいろいろな可能が広がる


娘さん2人と息子さん1人の3人のお子さんがいる笠原さん。現在大学生の長男が高校生のときまで、毎日お弁当を作ってあげていたそう。

「毎朝5時くらいに起きて作っていました。でも、朝から動いていると気持ちがいい。料理を作るのは手も頭も使うからすごく冴え渡ってくるし、頭がスッキリするから、そのまま出勤したらもうバリバリ働けるわけですよ。あと、『あいつ彼女できたのかな?』とか、子どものことを考える時間にもなる。意外とそういうのが楽しい時間でもありますね」

将来的に「料理の世界に入りたい」と考えているお子さんもいるとのこと。

「娘2人は料理に関係のない仕事をしていますが、次女は将来自分でカフェをやりたいらしくて、今はおしゃれなカフェのグループに就職してバリスタの勉強をしています。長男は大分県の大学に行っていて、料理と関係ない仕事をしたいと言っていたんですけど、夏休みに東京に帰ってきたときに『賛否両論』でバイトをさせたら、同世代のスタッフと仲良くなって、去年くらいから『将来は賛否両論を継ぎたい』って急に言い出したんです。うれしいのと怖いのと半々ですよ。同じ業界に来たら、自分の子どもの力量とかセンスが全てわかっちゃいますからね」

10年後の料理人としての自分のイメージは、「今と全く同じ感じだと思う」と笠原さんは言う。

「昔は、『賛否両論』をやめて、地元の常連たちが夜な夜な集まるような居酒屋をやりたいとか思っていたんだけど、ここまできたらやめられないですよね。たぶん僕はこの激務に追われて、同じような10年後を過ごしていると思いますね」

ただ、料理の仕事にはずっと携わりながらも、文章を書くのが好きであるため、小説を書いてみたいという夢はあるそう。

「自分の修行時代だけでも1冊書けますもん。いくらでも面白いネタはあるから。料理界を舞台にした小説ならいくらでもネタがあるから書けると思う。レシピ本ではなくて、本当のちゃんとした文章を書いてみたいという気持ちはあります」

本気でやればいろいろな可能が広がるし、頑張った分だけプラスになって返ってくる。料理業界はとてもいい仕事なので、若い人たちにもどんどん来てほしいと笠原さんは訴える。

「料理業界に来たい人たちは、料理のことばかり勉強していなくていいんですよ。いろいろなことを知っておいたほうが人間の幅が広がるし、気配りや想像力、人間力を高めておくほうが大事。あと、いっぱい本も読んだほうがいいですね。料理上手な人は盛り付けとかもうまいから、絵が上手な人も多いし、洋服のセンスがいい人も多いと思う。全てに生きます。モテますよ。頑張ればモテる(笑)」

(TEXT:山田周平)

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【ゲスト】

第51回・第52回(11月7日・14日配信) 笠原将弘さん


東京・恵比寿にある日本料理店『賛否両論』店主。新宿の有名日本料理店で修業した後、実家の焼き鳥店『とり将』を継ぎ、2004年に『賛否両論』をオープン。確かな調理技術と卓越した料理センスから生まれる独創的な和食が評判を呼び、瞬く間に予約のとれない人気店に。2013年には名古屋店もオープン。雑誌やテレビ、全国のイベントなど多方面で幅広く活躍し、和食の魅力を伝えている。プロのコツを楽しく解説するYouTube『笠原将弘の料理のほそ道』(チャンネル登録者は121万人/2025年12月現在)や家庭で作りやすいレシピが満載の著書も大好評。著書の『笠原将弘のまた食べたくなるおそうざい』(マガジンハウス)が話題。ビールとサウナ、家族をこよなく愛している。

HP:賛否両論

YouTube:笠原将弘の料理のほそ道

Instagram:@sanpiryoron_official

撮影/竹内章雄

【パーソナリティ】 

クックパッド株式会社 小竹 貴子


クックパッド社員/初代編集長/料理愛好家。
趣味は料理🍳仕事も料理。著書『ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる』『時間があっても、ごはん作りはしんどい』(日経BP社)など。

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