曲亭馬琴『白蛇伝』歌川国芳画, Public domain, via Wikimedia Commons.
江戸時代後期の小説家、曲亭馬琴とは
『國文学名家肖像集』 曲亭馬琴, Public domain, via Wikimedia Commons.
曲亭馬琴は本名を滝沢興邦といい、1767年(明和4年)に江戸の武士の家に生まれました。後に馬琴と名乗って活動した年代は、大衆芸術が花開いた化政文化の時代にあたります。
馬琴の作品の多くは、長編小説である「読本」に分類され、武家社会の教訓と仏教的な因果応報の思想を取り入れた、勧善懲悪の物語が特徴です。その作風は、これまでの軽妙な戯作(げさく)とは一線を画し、後の日本文学にも大きな影響を与えました。
2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~』には、まだ小説家として大成する前の通称・滝沢瑣吉の名前で登場し、蔦屋重三郎との関係も含めて描かれています。
曲亭馬琴と滝沢馬琴、二つの名前
馬琴は作家名、すなわちペンネームとして「曲亭馬琴」を名乗っていました。
一方で、公的な場や自身の晩年の記録では、本名の姓で「滝沢馬琴」の別名を使っています。そのため、現代の伝記などでは両方の名前を併記しているものが見られます。
