曲亭馬琴の代表作
馬琴の作品は膨大ですが、その中でも彼の名を不朽のものとした『南総里見八犬伝』と、名作といわれる代表的なものをご紹介します。
『南総里見八犬伝』
曲亭馬琴の代表作といえば、『南総里見八犬伝』です。
馬琴は、現在の千葉県南部にあたる安房国の戦国大名・里見氏をめぐる、勧善懲悪の伝奇物語に長年を費やしました。ヒロインの伏姫と神犬・八房(やつふさ)の因縁により生まれた8人の若者が主人公で、彼ら八犬士が集結する壮大なスケールや、複雑な人間ドラマが特徴です。
『椿説弓張月』
『椿説弓張月』(曲亭馬琴 著、1807 - 1811年刊)国立国会図書館デジタルコレクションより, Public domain, via Wikimedia Commons.
『椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)』は、源為朝を主人公とした伝奇読本です。為朝の豪快な活躍を描き、その物語のスケールと荒唐無稽な魅力から、『南総里見八犬伝』と並ぶ馬琴の傑作とされています。
挿絵は葛飾北斎が担当し、馬琴と北斎のコンビの初期の代表作となりました。
『傾城水滸伝』
曲亭馬琴著 歌川国安画『傾城水滸伝』第2編、1・2巻, Public domain, via Wikimedia Commons.
『傾城水滸伝(けいせいすいこでん)』は、中国の古典小説『水滸伝』を下敷きに、舞台を江戸の遊郭、すなわち傾城に移して構成された物語です。
江戸の遊郭を題材にするという当時の流行を取り入れた作品であり、大衆の関心を引きつけました。
曲亭馬琴と葛飾北斎の関係
曲亭馬琴・高井蘭山著 葛飾北斎画『新編水滸伝』, Public domain, via Wikimedia Commons.
曲亭馬琴の著作のうち『椿説弓張月』や『新編水滸伝』など数多くの作品では、葛飾北斎が挿絵を担当してヒットを連発しており、まさに黄金コンビの二人でした。
しかし、厳格な気質の馬琴と、自由奔放な北斎は対照的な存在でもあり、結果として二人のコンビは解消されます。しかし、この天才同士が生み出した作品群は、江戸後期の文学と美術が融合した大きな成果となりました。
