「成績が良くないと夜通し罵倒」母親から虐待を受けていた21歳女子大生が“SOSを出せなかった理由”

「成績が良くないと夜通し罵倒」母親から虐待を受けていた21歳女子大生が“SOSを出せなかった理由”

都内の難関大学に通うあかりさん(仮名・21歳)は、現在、就職活動に勤しんでいる。大学の授業の一環で、被災地のボランティアに携わり、そこからインフラや建設系の職を志すようになった。

 あかりさん(仮名) しかし、志望する業界で働く社会人に就活の相談をした際、思わぬ一言に傷ついたという。

「『君は立派な経歴なのに、言動に自信がないように見える。それは周りを不快にさせる可能性があるし、嫌味に映るから気をつけたほうがいいですよ』と言われたんです。向こうは善意で言ってくれているのでしょうが、そのとき『社会に出てからも苦労するのだろうな』と痛感しました」

 通学とバイトを両立しながら、就活も進め、取材にも落ち着いた口調で答える――。一見、年相応には思えないほどしっかりしたあかりさんだが、その一方で自己否定のような気持ちも抱える。

 その背景には、かつて母から受けていた虐待が関係していると明かす。家庭環境や虐待がどのように影響してきたのか、あかりさんが口を開く。

夜通し罵倒される日も

 あかりさんの母は教育熱心だった。一人っ子のあかりさんに対して、中学受験を強制していたなか、次第にその熱がエスカレートしていく。

「小学校高学年の頃から、母は成績が良くないと、罵倒して人格否定をしてくるようになりました。揉めている最中に私が言い返すと、母も逆上するようにヒートアップして、ひどい時は夜通し罵倒されることもありました。

こうした言い争いを繰り返すうち、母もまた、祖母から過度な教育を受けてきたことを知りました。私に詰問している時、母は断片的に、祖母から医学部を目指すよう強制された結果、精神疾患を患った過去を話してきました。怒りに任せて過去を打ち明ける母は、私に説教するというよりも、私を過去の自分に重ね合わせているようでした。

そのうち母に抵抗しても『問題の解決にはならない』と悟るようになりました。自分も傷つきたくないし、母にもこれ以上つらい思いをさせたくない。少なくとも私が反抗して、お互いの精神状態を悪化させるのはやめようと、次第に抵抗しなくなりました」

 過度な教育が及ぼす悪影響が、祖母から母、そしてあかりさんへ連鎖していく。いわゆる“虐待が連鎖していく構造”を、あかりさんは自然と理解するようになったと話すものの、それで母からの詰問が終わるわけではなかった。

スマホには位置情報共有アプリ、LINEやSNSは監視

 ※イメージです(以下、同じ) 中学受験は両親が望む学校には落ちて、地元の公立に進んだあかりさん。「その当時の母の怒りがおぞましかった」と振り返る中、母からの束縛は次第に強くなっていった。

「もともとLINEは、受験時に、オンライン塾受講のため使用していたタブレット端末に、父親が内緒でインストールしてくれました。しばらく経つと、母親にLINEを使用しているのがバレてしまい、監視と時間制限が始まりました。

母の意向から、私のLINEを監視されていたんですね。両親が使うパソコンから、私のLINEのアカウントにログインできるように設定され、友人とのやりとりは全部筒抜け。そのうえ1日15分と利用時間も制限されました中学時代は遊ぶのにも許可が必要でしたし、基本的に遠出もできなかったので、スマホや携帯がないと保護者が困るようなことはありませんでしたが……」

 高校になってスマートフォンを購入してもらったものの、束縛される日々は続いた。

「自宅から離れた高校に通うと、スマホに位置情報共有アプリを入れられました。放課後、こっそり繁華街に行くとすぐに連絡が入り、返信しないと母が学校に苦情を入れてしまうこともありました。

後日、担任から『気をつけなさい』と呼び出されるのですが、友達を巻き込んでしまうこともあり、恥ずかしいどころの騒ぎではなかったですね……。LINEのやり取りの履歴を見られていることなんか、口が裂けても言えなかったです」



配信元: 女子SPA!

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