トイレ介助は、介護のなかでも高齢の方の尊厳や安心感に深く関わる大切なケアです。単に排泄を手伝うだけでなく、動作のサポートや清潔保持、そしてプライバシーの確保が求められます。
本記事では介護のトイレ介助の基本について以下の点を中心に紹介します。
【介護】トイレ介助の基本
【介護】トイレ介助のための環境整備
【介護】トイレ介助の手順とポイント
介護のトイレ介助の基本について理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

監修医師:
小田村 悠希(医師)
・経歴:博士(保健福祉学)
これまで知的障がい者グループホームや住宅型有料老人ホーム、精神科病院での実務に携わる。現在は障がい者支援施設での直接支援業務に従事している。
【介護】トイレ介助の基本

トイレ介助(排泄介助)とはどのようなことですか?
トイレ介助(排泄介助)とは、自身で排泄動作を行うことが難しい方や、排泄機能に障害がある方を支援する介護のことです。具体的には、トイレへの誘導、衣類の着脱の補助、排泄後の陰部の清拭やおむつ交換などが含まれます。
単に排泄を手伝うだけでなく、清潔を保ち、感染症を防ぐためにも重要なケアです。また、排泄は人間の尊厳に深く関わる行為であり、支援によって精神的な安定や生活の質(QOL)の維持にもつながります。
トイレ介助にはどのような方法がありますか?
トイレ介助には、利用者の身体の状態や自立度に合わせていくつかの方法があります。
まず、トイレ介助は、歩行や立位が可能な高齢の方に対して、トイレへの誘導や衣服の着脱、排泄後の清拭を支援する方法です。歩行の様子や皮膚の状態を観察できるよい機会でもあります。
次にポータブルトイレ介助は、トイレまでの移動が難しい場合に寝室などで使用する携帯型トイレを活用する方法で、夜間の転倒防止にも役立ちます。
また、おむつ介助は、排泄の自立が難しい方に対して行うもので、皮膚トラブル防止のため清潔と保湿が重要です。
さらに、尿器や便器を用いた介助は、自力で起き上がれない方に推奨されており、ベッド上でも排泄できる方法です。
いずれの方法でも、清潔保持とプライバシーの確保が欠かせません。
【介護】トイレ介助のための環境整備

トイレまでの経路や環境はどのように整えればよいですか?
トイレ介助を行う際は、まずトイレまでの経路と環境を整えることが重要です。まず、居室からトイレまでの通路に障害物や段差がないかを確認し、つまずきや転倒を防ぎましょう。段差にはスロープを設置し、廊下のカーペットやマットはつまずいて転倒するリスクがあるため撤去しておくのがおすすめです。
夜間の移動に備え、足元を照らす照明や人感センサー付きライトを設置するとより便利です。また、廊下には歩行を補助するための手すりを設置します。
トイレのドアは開閉しやすい引き戸が望ましく、ドアノブはレバーハンドルタイプが操作しやすいです。
このような工夫が、高齢の方の自立支援と介助者の負担軽減につながります。
トイレ内の環境はどのように整えればよいですか?
トイレ内の環境を整える際は、高齢の方が安心して使用でき、介助者も動きやすい構造であることが大切です。
まず、立ち座りの負担を減らすために洋式便座を導入しましょう。和式便器の場合は、簡易的に洋式へ変換できるカバータイプを使用するのもおすすめです。
冬場は暖房便座や断熱マットを取り入れることで、寒暖差による体調不良を防げます。
次に、便器の左右や壁に手すりを設置し、立ち上がりや姿勢保持をしやすいようにしましょう。特に片麻痺がある方には、健常側に手すりを設けると動作がしやすくなります。
また、介助を行う際に十分なスペースを確保し、車椅子を使用している場合は、介助者が横からサポートできる広さが必要です。
さらに、照明や床材も滑りにくく明るいものを選び、快適で安心できる空間づくりを心がけましょう。

