粉瘤を根本から治す 手術で「袋ごと取る」ことの重要性と治療の選択肢

粉瘤を根本から治す 手術で「袋ごと取る」ことの重要性と治療の選択肢

粉瘤は自然に消失することがないため、根本的な治療には手術による摘出が必要となります。治療方法にはいくつかの選択肢があり、それぞれにメリットや注意点があります。粉瘤の大きさや部位、炎症の有無によって適切な方法は異なるため、治療方法をしっかり理解して、自分に合った治療を選ぶことが、再発を防ぐためにも重要です。従来の切開法から低侵襲なくり抜き法まで、さまざまなアプローチが存在します。

本木 智輝

監修医師:
本木 智輝(医師)

神奈川県川崎市 ナビタスクリニック川崎(皮膚科)勤務

新潟大学卒業
日本医科大学皮膚科助教

粉瘤の基本的な治し方

粉瘤は自然に消失することがないため、根本的な治療には手術による摘出が必要となります。治療方法にはいくつかの選択肢があり、それぞれにメリットや注意点があります。粉瘤の大きさや部位、炎症の有無によって適切な方法は異なるため、治療方法をしっかり理解して、自分に合った治療を選ぶことが、再発を防ぐためにも重要です。

手術による根治的治療

粉瘤の根治的治療は、袋状の構造物全体を外科的に摘出することです。この袋の壁を完全に取り除かない限り、粉瘤は再発する可能性が高いため、手術が標準的な治療法となっています。手術は通常、局所麻酔下で行われ、日帰りで実施できることがほとんどです。
手術の基本的な流れは、まず皮膚に小切開を加え、粉瘤の袋を周囲組織から剥離して摘出します。その後、出血がないことを確認し、創部を縫合して閉鎖するのです。摘出された組織は病理検査に提出され、良性であることを確認します。
手術時間は粉瘤の大きさや部位、癒着の程度によって大きく異なります。小さなものであれば15〜30分ほどで終わることが多い一方、サイズが大きい場合は1時間前後かかることもあります。また、炎症を伴っている場合、過去に何度も炎症を起こしている場合や複数個ある場合、あるいは首や耳周囲など複雑な部位では、1時間以上かかるケースも珍しくありません。時間には幅があるため、事前に医師へ見通しを確認しておくと安心です。術後は抗生物質や鎮痛剤が処方され、数日後に再診して経過を確認し、1週間〜2週間後に抜糸を行うのが一般的な流れです。

くり抜き法による低侵襲治療

くり抜き法は、近年注目されている粉瘤の治療方法です。直径数ミリメートルの専用器具を用いて皮膚に小さな穴を開け、その穴から粉瘤の内容物を排出し、袋を摘出する方法となります。従来の切開法に比べて傷跡が小さく、縫合が不要または最小限で済むことが特徴です。
この方法は、直径2センチメートル以下の比較的小さな粉瘤に適応されることが多く、炎症を起こしていない状態での治療が望ましいとされています。傷の治癒が早く、日常生活への影響が少ないというメリットがある一方で、袋の摘出が不完全になるリスクもあり、再発の可能性は従来法よりもやや高くなる可能性があります。
くり抜き法を選択する際には、適応条件を満たしているかどうか、医師による十分な評価が必要です。粉瘤の大きさ、部位、炎症の有無などを総合的に判断し、最適な治療法を選択することが推奨されます。

まとめ

粉瘤は誰にでも生じる可能性がある良性の皮膚腫瘍ですが、放置すると徐々に大きくなり、炎症やにおいなどの問題を引き起こすことがあります。できやすい人の特徴を理解し、早期に発見することで、小さいうちに治療を受けることが可能となります。手術費用は保険適用で数千円〜1万円台が一般的であり、治療方法も複数の選択肢があります。においや美容面での悩みも含め、気になる症状があれば皮膚科や形成外科を受診し、専門医と相談しながら適切な治療を受けることをおすすめします。

参考文献

公益社団法人日本皮膚科学会「皮膚科Q&A 粉瘤(アテローム)」

慶應義塾大学病院医療・健康情報サイト「粉瘤(アテローム)」

公益社団法人日本形成外科学会「粉瘤(アテローム・表皮嚢腫)」

厚生労働省「外科手術の保険点数について」

配信元: Medical DOC

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