高市首相の「旧姓の通称使用法制化」に限界、犯罪悪用を招くリスクも…選択的夫婦別姓弁護団長が警鐘

高市首相の「旧姓の通称使用法制化」に限界、犯罪悪用を招くリスクも…選択的夫婦別姓弁護団長が警鐘

●選択的夫婦別姓訴訟への影響は?

──夫婦別姓訴訟が導入されないまま旧姓使用だけが法制化された場合、現在の夫婦別姓訴訟にどのような影響がありますか。

2015年最高裁判決は「通称使用の拡大によって不利益は一定程度緩和され得る」として夫婦同姓制度を合憲と判断しました。これを踏まえて、国は今後、「旧姓使用の法制化によって不利益は相当程度緩和された」と主張してくることが予想されます。

しかし、旧姓使用の法制化には前述の通り、大きな限界があります。むしろ、生来の氏を使用し続けたいというニーズの高まりは、夫婦同姓制度の不合理性を示しています。

また、「戸籍上は夫婦同姓、職場などでは旧姓使用」というニーズと、「戸籍上も実生活でも1つの氏で生きたい」というニーズ(現在、男性であればほとんどの人が実現できていること)は本質的に異なります。旧姓使用の拡大や法制化が、選択的夫婦別姓制度の必要性を失わせることはありません。

原告・弁護団としては、旧姓使用の拡大・法制化は夫婦同姓制度の不合理性を可視化することはあっても、代替するものではないという、従前の主張を引き続きおこなっていくことになるかと思います。

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