痔は多くの人が悩んでいる病気ですが、初期症状を見逃し、発見が遅れると悪化する可能性があるため、症状に気づいたら早めに対処することが重要です。そこで、痔のセルフチェック方法について、伊藤先生(メディカルGPクリニック横堀)に解説してもらいました。

監修医師:
伊藤 生二(メディカルGPクリニック横堀)
獨協医科大学を卒業し、大学院(博士課程)を修了して医学博士号を取得後、慶和病院(現・西山堂慶和病院)外科の立ち上げに携わる。その後、東京大学医科学研究所外科移植科・獨協医科大学第二外科やイギリス・ロンドン大学インペリアルカレッジ外科、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州立大学外科、オーストラリアシドニー大学外科などで経験を積み、貞心会慶和病院(現・西山堂慶和病院)外科部長、副院長を歴任。その後、平成30年にメディカルGP・クリニック横堀を新規開院、院長となる。日本外科学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本大腸肛門病学会専門医・指導医、日本消化器外科学会認定医、日本乳癌学会認定医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター(サッカー)。
もはや国民病! 痔について医師が解説
編集部
痔とはどのような病気ですか?
伊藤先生
痔にはいくつかの種類があり、代表的なものに「いぼ痔(内痔核・外痔核)」「切れ痔(裂肛)」「あな痔(痔ろう)」があります。いぼ痔は、肛門周辺の血管が腫れてできるもので、内側にできるものを内痔核、外側にできるものを外痔核と呼びます。切れ痔は、排便時に肛門の皮膚が裂けて起こるもの。あな痔は、肛門周囲の感染が進んで膿がたまり、トンネル状の管(ろう管)ができる状態です。また、似たような病態として「肛門ポリープ」と呼ばれる肛門にできる良性のできものもあります。
編集部
痔になる人は多いのですか?
伊藤先生
痔は非常に一般的な病気で、決して珍しいものではありません。むしろ、日本人の約半数が一生のうちに経験すると言われているほどよく見られる疾患です。とくに便秘や長時間の座位が影響するため、現代人には多く見られます。
編集部
便秘が痔の原因になるのですか?
伊藤先生
はい、便秘は痔の原因の一つです。便秘が続くと、排便時に強くいきむことが多く、これが肛門に負担をかけ、痔核や裂け目(切れ痔)を引き起こす原因になります。また、便が硬くなることで肛門周辺が傷つきやすく、出血を伴うこともあります。便秘が長引く場合は、早期に対策を講じることが、痔の予防に繋がります。
編集部
長時間の座位が原因になることもあるのですか?
伊藤先生
そうですね。長時間の座位を続けることにより肛門に圧力がかかり、血流が悪くなって痔を引き起こすことがあります。同様に、妊婦さんもお腹が大きくなると血流が滞るため、痔になりやすいと言われています。定期的に立ち上がったり、体を動かしたりすることが予防に繋がります。
セルフチェックで痔の早期発見を
編集部
痔を放置すると、どうなってしまうのでしょうか?
伊藤先生
痔を放置すると症状が悪化し、出血や痛みがひどくなることは想像に難しくないと思います。それだけでなく、痔ろうや膿瘍、感染などを引き起こすこともあり、必要とされる治療が増えたり、時間がかかったり、手術が必要となったりすることもあります。ですから、早期発見・早期治療が重要です。
編集部
痔の早期発見にはどうすればよいですか?
伊藤先生
日常的に便の状態をチェックし、便秘や下痢の症状が続く場合は注意が必要です。また、出血や痛み、違和感があればすぐに受診することをおすすめします。肛門が痛いと感じても自分では確認できないため、知らないうちに重症化していることもありますので、痛いと感じたら我慢せずに受診しましょう。
編集部
自宅でできる痔のセルフチェック方法はありますか?
伊藤先生
そうですね。たとえば以下のようなチェックをおすすめします。当てはまる項目が多いと、痔の可能性が高くなります。これらはあくまでも目安です。当てはまる項目が少なくても、違和感がある場合などは先延ばしせずに受診してください。□便が硬く、排便時に痛みを感じることがある
□便秘がちである(1週間に3回未満の便通が続いている)
□便を出す際に強くいきむことが多い
□便の色や形が不規則で、特に硬い便が続くことがある
□排便時や排便後、肛門周辺に違和感や痛みがある
□便の後に出血が見られることがある
□便意を我慢してしまう
□野菜や果物をあまり摂取していない
□日常的に運動をしていない
□水分をあまり取らないほうだ
□酒・コショウ・からしなどの刺激物をよく摂取している

