不倫を問い詰めた日から、家は戦場と化してしまいます。逆上した哲司は暴力をふるうこともあり、警察沙汰になることも。一方、由美子は哲司を捨てきることができなくて…。
夫に問い詰めても開き直られて…
夕方、哲司がゴルフから帰宅した瞬間、私は彼にiPadを突きつけました。
「これ、どういうこと?」
私の声は、自分のものとは思えないほど低く、震えていました。哲司は一瞬で顔色を変え、一歩後ずさります。
「ゆ、由美子……なんで見たんだよ」
「あなた、結婚前から私を騙して、入籍直後に不倫旅行に行ってたんだね。東京旅行なんて大嘘じゃないの」
問い詰める私に対し、哲司はあろうことか開き直り、態度を急変させました。
「お前こそろくな女じゃないくせに文句つけるなよ。他の女にいかれる側にも原因があるに決まってんだろ」
「は?どういうこと!?」
私たちは激しく怒鳴りあってしまい、近所の人が通報したのか警察がきてしまいました。恥ずかしいことをしたと思い私は反省したのですが、夫はここでストッパーが外れてしまったようなのです―――。
夫のDVが始まった
このときから、哲司はカッとなると手を出すこともありました。
ある夜は「もう不倫してないの?」と疑ったことに腹を立てられ、腕を押さえつけられました。彼の指の跡がくっきりとした青アザになったとき、私は恐怖で声も出ませんでした。
そのほかにも、物を投げ始めて恐怖のあまり私が110番したこともあり、警察が介入したのは、4回。警察がくれば哲司は表面上は反省した態度を見せるのですが、すぐにまた元に戻ってしまいます。
今思えば、この状況になったらすぐに離婚すべきだったと思います。でも、私は両親に言えませんでした。あんなににこやかに顔合わせをしたのに、彼を信じきっていた自分を認めるようで嫌だったんです。それに、私の両親は結婚を心から喜んでくれていました。その期待を、たった数か月で裏切るのが怖かったのもあります。
「私が黙っていれば、いつか平和な日がくるかも」
そう自分に言い聞かせ、我慢し続けました。

