「居場所ができたハワイ。東京の記憶も捉え方が変わった」
― 現在は、ハワイで3人の子育て中。
「子どもたちを見ていると、あまりにも自然との距離が近いことに驚かされるんです。裸足のまま駆け回って、芝生の上で寝転んで『大地を感じたい!』と口にしたり、海に入っていると『もうすぐ大きな波がくるよ』と教えてくれたり、木に止まっている鳥を見ては『あの鳥、すごくお腹がすいてるね』と教えてくれる。ハワイの自然に子どもたちを育ててもらっていると思うと感動しちゃって、毎日、毎日感謝してます。私も一緒になって自然と触れ合っていると、子どものころから自然や動物や虫が大好きだったことを思い出すことができた。子どもが学校に通うようになると、私が日本の学校で教わったことって権利よりも義務ばっかりだったなと気づかされたりもして。子どもたちは義務よりも自分の権利、相手の権利とは何かを教わっているから、自分を大切にできるし、相手を尊重する心が養われている。誰かのことを否定する必要はないけれど、自分がどう感じるかどう考えるかというのは言葉にしていいものだと。それが分かっているから、子どもたちは生きることがすごく上手なんですよ。私の中で、“みんなみたいにできないこと”が、ずーっとコンプレックスだったけど、その違いをもっと堂々とより自由にあらわにしてもいいのかもしれないと、子どもたちが教えてくれた気がします」
― 移住後、著書やSNSでの発信、携わるプロジェクトにしても、ひなのさんの内面が色濃く伴っていると感じます。この10年で、仕事への向き合い方も大きく変わりましたか?
「今になってやっと10代、20代にしてきたたくさんの仕事、いただいた賞を大事にできるようになったんです。『あの賞、取ってたんですね』『写真集が大好きでした』と言ってもらえて、誰かが私の代わりに大事にしてくれた月日を経て、私の中で、あのころどうでもよかったものが、今になって本当に価値のあるものに変わっていきました。今、仕事をする上で大切にしているのは、携わるみんなが幸せであること、思いやりでつながっていくこと、誰かがどこかで悲しい思いをしないこと。もちろん、どんなに好きなことをしていてもすり減るときはすり減るし、好きなことをやり続けるためにやりたくないことをやらざるを得ないときも絶対ある。全てが理想通りに完璧なんてことはなくて、でも、それが生きるってことなんですよね。少し前はもがいていたの。でも、もう少し図々しくてもいいのかなって。もし、ストレスが溜まったら庭にせっせと穴を掘ります。無心で掘り続けると、めっちゃスッキリするんですよ(笑)」
子どもとの時間全てが愛おしい
― ハワイならではですね(笑)。では最後に、これまでの10年、これからの10年について。
「これまでの10年は、ハワイでもう一回生き直すというか、本来の自分を取り戻す時間だったと思う。自分の本質的な幸せや喜びをどこに見出すのか改めて思い出すために。これから50歳までは精一杯働きたいと思っていて、自分の会社で理想をひとつずつ実現していきたい。どうしたら幸せの循環ができるんだろうと考えながら。ファームでのんびりする生活もいいけれど、末っ子がまだ2歳だから、私もまだまだ現役でいなきゃなと思ってます」
HINANO’S 2014-2024 HISTORY
~2014
日本で『sweet』他、ファッション雑誌でモデルとして活躍する傍ら、洋服や家具などのプロデュースなども手がけ忙しく活動
2015
ハワイ・オアフ島に家族で移住
2018
第2子出産。家族でLAに生活の拠点を移す
2019
ハワイ・オアフ島に戻る
2021
第3子出産
2023
『Dearママ』出版
吉川ひなの
13歳でモデルデビュー後、トップモデルとして数々の雑誌で表紙を飾り、女優や歌手としても活躍。第1子の妊娠をきっかけにハワイに移住。オーガニックコスメブランド「hinalea」や子ども服ブランド「Love the Earth blue」をプロデュースするかたわら、環境アクティビストとして情報発信を積極的に行っている。
interview:HAZUKI NAGAMINE illustration:MASAMI WAKAYAMA
otona MUSE 2024年5月号より
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