「胃がんの手術法」はご存じですか?4つの切除法・術後合併症を医師が解説!

「胃がんの手術法」はご存じですか?4つの切除法・術後合併症を医師が解説!

胃がん手術の主な合併症

ここでは、胃がん手術の主な合併症を3つ紹介します。

縫合不全

縫合不全は、患者さんの全身状態や手術の難易度などが関係する合併症です。

手術では、切除した胃と残った消化管(食道、十二指腸、小腸など)をつなぎ合わせますが、縫合部がうまくくっつかず、つなぎ目から食べ物や消化液が漏れ出てしまうことを縫合不全と呼びます。

縫合不全が発生すると、漏れ出た消化液により腹腔内に炎症が起こり、激しい腹痛や発熱などの症状が現れます。
重症化すると、腹膜炎を引き起こし、生命に関わる危険な状態になることもあります。

縫合不全が疑われる場合、まずは絶飲食とし、鼻から管を入れて胃内容物を体外に排出します。
また、抗生物質の点滴投与を行い、炎症を抑えつつ、縫合部の治癒を待ちます。

しかし、穴が大きかったり、全身状態が悪化した場合には、再手術が必要になることもあります。

膵液漏

膵液漏は、胃がん手術において、リンパ節郭清の際に膵臓の損傷によって起こり得る合併症です。

膵液には、タンパク質や脂肪を分解する強力な酵素が含まれているため、漏れ出た膵液が周囲の臓器や血管に触れると、それらを溶かしてしまう危険性があります。
結果、重大な合併症として、感染による膿瘍形成や、血管損傷による出血などを引き起こすことがあります。

膵液漏が疑われる場合、ドレーンを留置して膵液を体外に排出するとともに、状況次第では抗生物質の投与を行い、感染を防ぐことが重要です。
また、膵液の漏出が続く場合には、膵液瘻(ろう)と呼ばれる状態になることがあり、治療に時間がかかることがあります。

腹腔内膿瘍

腹腔内膿瘍は、胃がん手術後に起こり得る合併症です。腹腔内膿瘍の主な原因として、縫合不全や膵液漏、腹腔内膿瘍などが考えられますします。
膿瘍は、腹腔内のさまざまな場所に形成され、その位置によって症状が異なりますが、腹痛や発熱が主な症状として現れます。

腹腔内膿瘍が疑われる場合、CT検査や超音波検査などの画像診断により確認を行います。
膿瘍が確認された場合、まずは抗菌薬の投与により感染のコントロールを図ります。
しかし、膿瘍が大きい場合や、抗菌薬だけでは改善が難しい場合には、ドレナージが必要となります。

ドレナージは、膿瘍に直接カテーテルを挿入し、膿を体外に排出させる処置です。
カテーテルは一定期間留置され、膿瘍の縮小と感染の改善を確認しながら管理します。

胃がんについてよくある質問

ここまで胃がんの手術内容や合併症などを紹介しました。ここでは「胃がんの手術」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

胃がんの開腹手術と腹腔鏡手術の違いは何ですか?

本多 洋介 医師

胃がんの手術には、開腹手術と腹腔鏡手術の2つのアプローチ方法があります。開腹手術は、上腹部を15〜20cm程度切開し、直接臓器を目視しながら手で触れて手術を行う伝統的な方法です。
一方、腹腔鏡手術は、腹腔内にガスを注入して5〜12mmの小さな穴を数か所開け、高解像度カメラで拡大視しながら専用の器具を用いて手術を行う方法です。

胃がん手術後の後遺症はどのような症状がありますか?

本多 洋介 医師

胃がん手術後の後遺症は、小胃症状、ダンピング症候群、逆流性食道炎などがあります。小胃症状は、胃が小さくなったため食事量が減少し、もたれ感や腹部膨満感、体重減少などが起こります。
ダンピング症候群は、食べ物が急速に腸に流れ込むことで起こり、早期には腹痛や下痢、動悸などが、後期には低血糖症状が現れます。
逆流性食道炎は、胃の入り口の機能低下により、胸やけや苦い液の逆流などが起こります。

配信元: Medical DOC

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