「聴力検査の正常値」はご存知ですか?異常値から見つかる病気も医師が解説!

「聴力検査の正常値」はご存知ですか?異常値から見つかる病気も医師が解説!

聴力検査の正常値はご存知ですか?メディカルドック監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

木村 香菜

監修医師:
木村 香菜(医師)

名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

聴力検査とは?

健康診断でおなじみの「1kHz・4kHzの聴力テスト」だけでなく、病院で行う本格的な聴力検査ではさらに詳しいデータが得られます。気になる症状があれば、迷わず耳鼻咽喉科を受診してください。

聴力検査ではどうやって耳の聞こえ方を測る?

聴力検査は、耳がどの程度音を感じ取り、どこに障害があるのかを調べるために行われます。最も一般的なのが「純音聴力検査」と呼ばれる方法で、専用のヘッドホンを装着し、さまざまな高さや大きさの音を聞いていく検査です。被検者は、聞こえたタイミングでボタンを押したり手を挙げたりして反応します。この反応から「どの高さの音がどれくらいの大きさで聞こえるのか」を測定し、耳の感度を調べることができます。

また、より詳細な聞こえの状態を知るために、言葉がどれくらい聞き取れるかを確認する語音聴力検査や、鼓膜や中耳が適切に動いているかをみるティンパノメトリーなどが行われることもあります。症状や目的に合わせ、これらの検査を組み合わせることで、外耳から内耳、さらに聴神経までのどこに問題があるのかを判断することができます。
なお、耳鼻咽喉科で行う標準的な聴力検査は保険適用となり、自己負担額は数百円〜1,000円前後と考えられます。健康診断では簡易的な聴力検査が採用されることが多く、より精密な評価が必要な場合は耳鼻科での純音聴力検査が推奨されます。

健康診断で行う聴力検査の特徴とは?

健康診断で行われる聴力検査は、より簡易的なスクリーニングを目的としたものです。主に1,000Hzと4,000Hzという2種類の音の高さについて、ある程度の音量まで聞こえるかどうかを調べます。これは日常会話で重要な音や、加齢とともに低下しやすい高音域を中心にチェックするためのものです。より細かな結果が必要な場合は、耳鼻咽喉科での精密検査が推奨されます。

聴力検査の正常値とは?

健康診断と耳鼻咽喉科などでのチェックでは、少々基準が異なります。

健康診断における聴力検査の正常値

健康診断では、1kHzと4kHzの音が25〜30dB程度までに聞こえれば「正常」と判定されます。30dBを超えると、軽度の聞き取りにくさがあると判断され、再検査の対象になることがあります。特に4kHzで40dBを超える場合、高音域の聞こえが低下している可能性があり、加齢性難聴や騒音による影響が疑われます。

耳鼻咽喉科における聴力検査の正常値

耳鼻科で行う純音聴力検査では、より詳細に複数の周波数を調べます。
0〜20dB以内が正常の範囲であり、20〜25dBになると軽度の低下が疑われます。健康診断と異なり、気導と骨導を区別して測定するため、中耳に原因があるのか、内耳や神経に原因があるのかを判断できるのが特徴です。急に片耳だけ40dB以上の低下が見られる場合は突発性難聴の可能性があり、早急な受診が必要です。

配信元: Medical DOC

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