年齢別の聴力の目安(dB)
日本人の方を対象にした聴力閾値に関するデータによると、以下のような結果が得られています。加齢により聴力はゆっくり低下していきます。その進み方には個人差がありますが、目安にしてみると良いでしょう。
【10代(若年期)】聴力の目安
調査によると、10代の聴力の平均閾値は、1,000Hzで男性は6.5dB、女性は6.4dBでした。
4,000Hzで男性は4.5dB、女性は4.6dBでした。良好な結果といえますが、近年はイヤホンによる大音量の音楽が原因で高音域が低下するケースが増えているため、若い世代でも注意が必要です。
【30代(働き盛り)】聴力の目安
調査によると、30代の聴力の平均閾値は、1,000Hzで男性は8.3dB、女性は5.9dBでした。
4,000Hzで男性は6.7dB、女性は4.5dBでした。30代では、多くの人が10〜20dBの範囲に収まり、日常生活に支障が出ることはほとんどありません。しかし、高音域の聞こえがわずかに低下し始める人もおり、人混みのなかで相手の声が聞き取りにくくなるなど、環境によって不便を感じることがあります。
【50代(加齢変化が出やすい年代)】聴力の目安
調査によると、50代の聴力の平均閾値は、1,000Hzで男性は10.3、女性は8.7dBでした。
4,000Hzで男性は12.3dB、女性は8.0dBでした。50代に入ると、高音域を中心に20〜35dB程度まで閾値が上昇する人が増え、加齢性の変化が現れやすくなります。会話で聞き返しが増えたり、電話で相手の声がこもって聞こえたりするといった症状が出始めることがあります。ただし、急に片耳だけ悪化した場合は加齢だけでは説明がつかず、病気が隠れている可能性があります。
聴力検査結果の見方
検査を受けても、よく見方がわからないという方もいるかもしれません。以下を参考にしてみるとよいでしょう。
聴力検査のオージオグラムのグラフの見方(聴力レベル)
オージオグラムは、周波数(音の高さ)と聴力レベル(音の大きさの閾値)を示すグラフで、耳鼻科での検査後に作成されます。横軸には125〜8,000Hzまでの音の高さ、縦軸には0〜120dBの音の大きさが表示され、下へ行くほど聞こえにくいことを表します。右は赤、左は青で示され、左右差の有無を確認できます。高音域が下がっていれば加齢や騒音が、高音より低音が下がっていればメニエール病や中耳炎が疑われます。
聴力検査の4分法・3分法・6分法とは
純音聴力検査において、平均聴力レベルの算出方法にはいくつかのものがあります。
周波数 500、1,000、2,000Hz のそれぞれの聴力レベルをa,b,c (dB) としたとき、以下のような計算が用いられます。
・3分法
(a+b+c)/3 という式で算出された数値(dB)
・4分法
(a+2b+c)/4という式で算出された数値(dB)
日本では、(a+2b+c)/4 が用いられることが多いですが、明記することが望ましいとされています。
気導聴力・骨導聴力の違い
気導聴力はヘッドホンからの音を使い、骨導聴力は骨に直接振動を与えて内耳に音を届けるという違いがあります。気導が悪くても骨導が保たれているときは中耳の問題(伝音難聴)が疑われますが、両方が悪い場合は内耳や神経の問題(感音難聴)が考えられます。
聴力検査結果の左右の確認ポイント
オージオグラムでは左と右での差を見ることが重要です。左右の差が10dB以上ある場合は注意が必要で、特に片耳だけ急に悪くなっている場合は突発性難聴や聴神経腫瘍などの可能性があり、精密検査を検討する必要があります。

