筋肉ムキムキすぎ?小栗旬が蜷川幸雄役をやった深い意味と、2人の知られざるエピソード |ドラマ『もしがく』

筋肉ムキムキすぎ?小栗旬が蜷川幸雄役をやった深い意味と、2人の知られざるエピソード |ドラマ『もしがく』

小栗旬、筋肉育ったなあ。Netflix『匿名の恋人たち』を見ても、来年放送の大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK)の第一話の試写を見ても、胸筋や上腕筋のたくましさに目が行く。

 セレブの社長や織田信長役であればふさわしい役作りという気がするが、『もしがく』こと『もしも世界が舞台なら、楽屋はどこにあるだろう』(フジテレビ系 水曜夜10時~)での蜷川幸雄役にはやや、カラダでかすぎという印象があった。

 『もしがく』9話場面写真©フジテレビ

幻になった蜷川×小栗主演の『ハムレット』

 筆者が聞き手になった蜷川の『身体的物語論』(18年、徳間書店)に小栗と蜷川のことが記されている。

<09年『ムサシ』以降、蜷川の舞台に出ていなかった小栗は、13年に蜷川と対談したことをきっかけにもう一度一緒に仕事をしたいと考えるようになっていた。

「一度、同じ事務所の高橋努(元ニナガワ・スタジオ)が出ている『海辺のカフカ』(14年)の稽古に見学に行って、タイミングを見計らって蜷川さんともう一度芝居をしたいとお願いしたんです。最初、僕は『マクベス』をやりたいと言ったんですよ。でも、すでに市村正親さんで『NINAGAWAマクベス』をやることが決まっていて、それはできないと蜷川さんに言われてしまいました。

その後、蜷川さんから電話がかかってきて『「ハムレット」をやろう』と言われました。でも『ハムレット』も(藤原)竜也がやることになっていたし……。さっそく竜也に電話して『蜷川さんにそう言われたけどいい?』と確認したら『おもしろいじゃないか』と快諾してもらいました。

蜷川さんは「2012年・蒼白の少年少女たちによる『ハムレット』」のときの地下があるセットが気に入っていたみたいで、次にやるときも、何もない素舞台で、地下のある美術を考えていたようです。キャストは僕と、オフィーリア、クローディアスは決まっていましたが、あとはわかりません。(後略)>

 蜷川が亡くなったので小栗の『ハムレット』は幻になった。



「大切なのはノイズ。予定調和は罪悪」

 『もしがく』では久部は『マクベス』や『ハムレット』について語っていて、いつか『ハムレット』をやりたいと考えている。久部の名前といい、ドラマのなかでは『マクベス』のストーリーのオマージュのような部分も随所にある。でも蜷川の演出で『マクベス』も『ハムレット』もやることができなかった小栗が蜷川をやることになんともいえないしんみりしたものを感じざるを得ない。

 いや、『ハムレット』には出ている。それが彼と蜷川の出会いであった。03年、ハムレットに代わる次世代の王子フォーティンブラスを演じたのをきっかけに、小栗旬は蜷川の演出作に多く出て、英国デビューも果たした。

 久部を追い出した劇団では、生田斗真がハムレット役に。『もしがく』10話場面写真©フジテレビ『もしがく』で小栗が演じる蜷川は久部に語る。

「演劇はね猥雑であるべきなんだ。そういう意味でストリップ小屋でシェイクスピア。最高だと僕は思いますよ」

「ノイズだ。ノイズ。大切なのはノイズ。予定調和は罪悪」

「唐突に始まった漫才をやっていたのは?」「よかったよ。あれがノイズだ」

「人間はそれぞれ培ってきた人生がある。それを土台にして演劇という新たな身体表現で新しい自分に出会う。その瞬間に僕たちは立ち会うんだ」

配信元: 女子SPA!

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