トラコーマの前兆や初期症状について
トラコーマの初期症状は、感染から1週間程度の潜伏期間の後、まぶたのむくみや眩しさなどの自覚症状が現れ、結膜(まぶたの裏側から白目を覆う膜)に複数の小さな突起や粒状の変化が現れることから始まります。さらに炎症が進行すると、結膜がさらに肥厚し、正常な血管が見えなくなってきます。再感染や時間の経過とともにまぶたの裏全体が瘢痕化し、まぶたが内側に巻き込まれて逆さまつ毛の状態になります。
感染を繰り返して数年が経過すると、逆さまつ毛が角膜を擦るようになり、角膜が傷つけられることで、痛みや光に対する過敏症(まぶしさ)が常に生じます。
次第に角膜の瘢痕化や混濁(こんだく)が進行し、最終的には失明や視覚障害に至る可能性があります。
トラコーマの検査・診断
トラコーマの診断は、主に視診によっておこなわれます。
発展途上国の検査では、医師が患者のまぶたの裏側を注意深く観察し、特徴的な所見を確認します。
結膜状の小さなのう胞の存在、結膜の線状の瘢痕化、角膜パンヌスなどが見られた場合、トラコーマの可能性が高くなります。
これらの所見は細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査を用いてより詳細に観察されることもあります。さらに、確定診断のために目や鼻の分泌液を採取し、細菌学的検査をおこなうこともあります。
採取した検体は培養検査やPCR検査、蛍光抗体法などの手法を用いて、原因菌であるクラジミア・トラコマチスの同定がおこなわれます。
これらの検査によりトラコーマの診断精度が向上し、適切な治療方針の決定に役立ちます。

