トラコーマの治療
トラコーマの主な治療は薬物療法と手術療法になります。
薬物療法
トラコーマの薬物療法では、主に抗菌薬が使用されます。
「アジスロマイシン」「エリスロマイシン」「ドキシサイクリン」などの抗菌薬が効果的とされています。
特にアジスロマイシンは子どもに対しても単回投与で高い効果が得られることが報告されています。エリスロマイシンやドキシサイクリンは、8歳未満の子どもや妊婦などには使用できないこともあり、薬物療法の選択は患者の年齢や症状の重症度などを考慮して決定されます。
局所療法として「テトラサイクリン」という成分を含む眼軟膏が使用されることもあります。
手術療法
トラコーマが進行し、トラコーマまつ毛乱生症が発生した場合、手術療法が適応になります。
主な手術療法には眼瞼手術や角膜移植があります。
眼瞼手術はまぶたの異常な湾曲を修正し、まつ毛が角膜に接触しないよう正常な位置に戻す手術です。この手術により角膜へのさらなる損傷を防ぎます。
角膜移植は、トラコーマによって角膜が深刻に損傷を受け、混濁が進行した場合におこなわれます。健康な角膜に置き換えることで、視力の回復を図ります。
トラコーマになりやすい人・予防の方法
トラコーマになりやすい人は、アフリカやアジア、中南米、オーストラリア、中東などの発展途上国で流行しており、これらの地域に住む人々は感染リスクが高いとされています。
2024年現在、流行地域には1億300万人が居住しており、特に貧困層や衛生環境の整っていない地域の住民が感染しやすい傾向にあります。
その中でも子どもは感染リスクが高く、女性も家事や育児を通じて感染する機会が多いとされています。(出典:公益社団法人日本WHO協会「トラコーマ」)
トラコーマを予防するためには、感染予防対策を徹底することが重要です。
清潔な水による顔の清潔保持や、手洗いの習慣化、衛生的な生活環境の維持が効果的になります。また、トイレや下水設備の整備、ハエの駆除なども感染リスクの軽減につながります。
WHOでは、トラコーマの予防策としてSAFEの戦略に基づき、手術と抗生物質による治療のほか、洗顔と環境改善を推進し、流行地域でのトラコーマ撲滅を目指しています。
関連する病気
角膜パンヌス
新生児封入体結膜炎
成人封入体結膜炎
春季カタル参考文献
厚生労働省トラコーマについて(ファクトシート)
公益社団法人日本WHO協会トラコーマ
一般社団法人日本性感染症学会9.眼と性感染症

