ビタミンAが不足すると現れる症状

視覚関連
夜盲症(暗順応障害):暗い場所で目が見えにくくなります。
角膜乾燥症:角膜や結膜が乾燥し、重症化すると角膜潰瘍や失明のリスクもあります。
皮膚・粘膜関連
皮膚の乾燥やかさつきとして現れます。
角化異常:皮膚がざらついたり、鱗状になることがあります。
粘膜障害:鼻やのどなどの粘膜が弱くなり、感染症にかかりやすくなります。
免疫関連
感染症への抵抗力低下:風邪や肺炎、下痢などのリスクが増加します。
成長・発育関連
乳幼児・思春期の発育遅延:骨や歯の成長、細胞分化や再生に影響します。重度の欠乏では発育不良が見られることもあります。
ビタミンAを過剰摂取すると現れる症状

肝臓障害
ビタミンAは脂溶性で肝臓に蓄積されやすいため、過剰摂取すると肝臓の機能障害や肝腫大を引き起こすことがあります。
頭蓋内圧亢進症
過剰摂取(特にレチノール)により中枢神経系に影響し、頭痛・吐き気・視覚障害、めまいなどが現れることがあります。
胎児への影響
妊娠初期に過剰摂取すると、胎児の先天異常(胎児奇形)のリスクが高まる可能性があります。
骨折のリスク
ビタミンAは細胞の分化や成長に関わる一方で、レチノールを高用量で長期間摂取すると、骨密度の低下や骨折リスクの上昇を示す研究があります。特にサプリメントで必要量を大きく超えて摂り続ける場合に注意が必要です。
通常の食事量や、推奨量の範囲内であれば骨折リスクが高まる心配はほとんどありません。サプリを利用する際は耐容上限量を超えないようにし、基本は食事から適量を摂ることが安全です。
ビタミンAの効率的な摂取方法は?

食事からの摂取を基本にする
ビタミンAは、動物性食品のレバー、魚類、卵、乳製品などにレチノールとして、植物性食品のにんじん、かぼちゃ、ほうれんそうなどにカロテノイドとして含まれます。食事から摂ることで、他の栄養素とのバランスがとれやすく、吸収も安定します。
脂溶性ビタミンであるビタミンAとビタミンDは、いずれも核内受容体を介して作用しますが、通常の食事量であれば相互作用が問題になることはありません。ただし、ビタミンAを高用量で長期間摂取した場合、ビタミンDの働きに影響する可能性を示す研究があります。ビタミンDサプリを併用する場合でも、通常量であれば心配ありませんが、ビタミンAの高用量サプリを続けることは避けるのが安全です。
サプリメントで補う場合は量に注意
食事だけで十分に摂れない場合は、サプリメントで補うことが可能です。ただし、過剰摂取により肝障害や頭痛などのリスクがあるため、耐容上限量を超えないようにします。
日々の食事で適量を続けて摂取する
ビタミンAは脂溶性で体内に蓄えられるため、多少の摂取のばらつきがあってもすぐに不足することはありません。それでも、食事が偏ると不足の原因になるため、普段の食事から適量を継続して摂ることが大切です。安定して摂取できていると、視覚機能や皮膚・粘膜の健康、免疫、成長・発育などの働きをしっかりサポートできます。
「ビタミンAサプリの効果」についてよくある質問

ここまでビタミンAサプリの効果について紹介しました。ここでは「ビタミンAサプリの効果」についてよくある質問に、メディカルドック監修の管理栄養士がお答えします。
ビタミンAサプリを長期服用するとどんな効果が現れますか?
荒井 佳奈恵
ビタミンAは皮膚やのどの粘膜を健康に保ち、乾燥や感染から体を守ります。目の働きにも関わり、暗い場所での見やすさを助けます。また、骨や歯の成長や細胞の生まれ変わりにも役立ちます。ただし体に溜まりやすいため、長く服用する場合は決められた量を守ることが大切です。
まとめ
ビタミンAは、目の健康や暗い場所での視力、肌や粘膜のバリア機能、免疫、成長・発育を支える大切な栄養素です。食事からの摂取が基本ですが、必要量が不足しやすい場合はサプリメントで補うことも可能です。脂溶性ビタミンのため過剰摂取に注意し、食事と組み合わせて適量摂取を続けることで、体の内側から健康をサポートできます。日々の栄養管理で目・肌・免疫を元気に保ちましょう。
「ビタミンA」と関連する病気
「ビタミンA」と関連する病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
ビタミンAと関連する病気
夜盲症
角膜乾燥症
角膜軟化症
角化症
皮膚乾燥症
発育遅延・発育不良
感染症の易罹患
急性または慢性ビタミンA中毒
肝障害
「ビタミンA」と関連する症状
「ビタミンA」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
暗い場所で目が見えにくくなる
角膜や結膜の乾燥・異常
鼻・のどなど粘膜の乾燥や弱化
骨や歯の成長遅延
発育不良
頭痛、吐き気
皮膚の異常(赤みや乾燥、かゆみ、かさつき、ざらつき、鱗状)
関節痛や骨の異常
参考文献
厚生労働省, eJIM,ビタミンAとカロテノイド
厚生労働省,「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書, ビタミン(脂溶性ビタミン), ビタミンA
健康長寿ネット,ビタミンAの働きと1日の摂取量
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