心不全を疑う咳にはどんな特徴がある?Medical DOC監修医が心不全の初期症状・末期症状・なりやすい人の特徴などを解説します。

監修医師:
佐藤 浩樹(医師)
北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。
「心不全」とは?
心不全とは、心臓に何らかの異常が生じ、ポンプ機能が低下し心機能が悪化した結果、全身に必要な血液を十分に送り出せなくなった状態をいいます。それに伴い、さまざまな症状が起こります。増悪と寛解を繰り返し、徐々に悪化していくのが特徴です。
心不全を疑う咳にはどんな特徴がある?
心不全を疑う咳は、心臓の働きが弱まり肺にうっ血が生じることで起こるもので、感冒などに伴う咳とは異なります。主な特徴を3つあげて解説いたします。
体位で症状が変化する咳
心不全では、心臓機能低下により肺に血液が滞りやすくなるので、咳が出やすくなります。横になると、さらに血液がたまるため、咳が強くなるのが特徴と言えます。座ると楽になることが多いです。
労作により症状が変化する咳
心不全の咳は、階段を上る、歩くなどの労作によって増悪することが多いです。心臓が十分に血液を送り出せず、軽い動作でも肺のうっ血が悪化するためと考えられます。安静になると改善することが多いです。
咳に伴う痰の色が異なる
心不全では、肺に水分が溜まることで、水っぽい薄いピンク色の痰が出ることが多いです。これに対し、肺がんでは、気道が腫瘍で傷つきやすいため、出血に伴う鮮やかな血痰や茶色い痰がみられることが多く、痰の性状が異なります。

