心不全が進行すると現れる症状(末期症状)
心不全が末期まで進行すると、心臓のポンプ機能が大きく低下し、全身の臓器へ十分な血液を送れなくなります。そのため臓器の働きが弱まり、全身の機能が徐々に落ちていきます。自力で日常生活を送ることが難しくなり、安静中心の生活となることで生活の質も低下してしまうことも多いです。状態が深刻になると余命に影響を及ぼすこともあり、適切なケアがより重要となります。3つの症状をあげて解説いたします。
呼吸困難
末期心不全では、肺に水分が滞りやすくなるため、安静時でも息苦しさが強くなります。体を起こした姿勢をとると一時的に楽になることがありますが、根本的改善にはつながりません。会話が困難なほどの呼吸困難になることも多いです。緊急性が高く、早急に循環器科を受診してください。
全身のむくみ・体重増加
心臓のポンプ機能低下が高度のため、全身からの血液の環流が滞る状態になります。その結果、体内の水分が蓄積し、足だけでなく腹部や全身がむくむ状態となる事も少なくありません。この状態が継続すると、体重増加にもつながります。受診先は循環器科で、利尿薬の調整を含む治療が行われることが多いです。呼吸困難を伴うむくみは緊急度が高いので、救急車を要請するなど、早急な対応が必要です。
極度の全身倦怠感
末期心不全に至ると、血流が臓器に十分届かないため、極度の全身倦怠感が起こり、日常生活に支障が出る場合が多いです。さらに重症化すると、ぼんやりするなどの意識障害が起こることもあります。安静にしても改善が認められないことが多いです。家族など周囲の人が患者さんの意識の変化に気づくなど注意を払う必要があります。このような症状が現れた場合は、早急に循環器科を受診ください。
心不全になりやすい人の特徴
心臓に慢性的な負荷を与える疾患を有すると心不全になりやすくなります。主な疾患は、生活習慣病です。代表的な疾患を3つあげて解説いたします。
高血圧を有する人
高血圧は常に心臓へ負担をかけるため、放置すると徐々に心臓の働きが弱まっていきます。その結果、全身にさまざまな障害が現れるようになります。初期の高血圧は自覚症状がほとんどないため、受診が遅れやすいことが問題です。健診などで血圧高値を指摘された場合は、症状がなくてもそのままにせず、早めに医療機関へ相談することが大切です。
糖尿病を有する人
血糖が高い状態が長く続くと、血管や心筋に常にダメージを与えるため、心臓のポンプ機能が弱まってきます。初期には疲れやすさや動いたときの違和感として現れることもありますが、気づかないまま進行することが少なくありません。血糖値の異常や体調の変化に気づいた場合は、内科または循環器科を受診し、早めに対応することが重要です。
腎機能低下がある人
腎機能が落ちると体内の水分や塩分のコントロールがうまくできなくなり、血圧が上がりやすくなり、心臓に負担がかかります。初期は自覚しにくいものの、足の重さやむくみとして現れることがあります。こうした変化に気づきましたら、塩分を控えて安静にすると、楽になることが多いです。続く場合は、医療機関を受診してください。受診先としては、内科、腎臓内科、循環器科が適しています。

