
交通機関で子どもが泣いたとき、親子が周囲から冷たい視線を向けられる場面は珍しくない。そんな現実を下敷きに、「もしも、こんな返しができたら?」という願いをユーモアに昇華させたのが、伊東(@ito_44_3)さんの創作漫画「強い母子」である。本作はX(旧Twitter)で52.5万もの「いいね」を集め、共感と爽快感を同時に呼び起こした。
■電車内で始まる理不尽な怒鳴り声、その瞬間



物語の舞台は電車の車内。母親は赤ちゃんを抱っこひもで抱え、隣には幼い息子が立っている。静かだった車内に赤ちゃんの泣き声が響いた次の瞬間、目の前に立っていた男性が「うるせぇんだよ!」と声を荒らげる。突然の怒鳴り声に、周囲の乗客は固唾をのんで成り行きを見守ることになる。
■謝らない、ひるまない。母の一言が空気を変えた
多くの場面では、親が謝罪し、その場をやり過ごす展開になりがちだ。しかしこの漫画の母親は違った。「は?お前の方がうるせえよ」と真っ向から言い返す。その一言で、場の空気は一変する。理不尽に声を荒らげた側ではなく、毅然と立つ母子の姿に、読者は思わず胸がすく思いを抱くのだ。
■「こうだったらいいのに」をギャグに変えた理由
作者の伊東さんは、赤ちゃんの泣き声をめぐる議論や、弱い立場の人が責められる場面をSNSで目にするたびに、違和感を覚えていたという。泣くことを止められない赤ちゃんや、その親が萎縮してしまう現実を逆手に取り、「こんなに強い親子だったらどうだろう」と発想を転換した結果、生まれたのが本作である。あくまでギャグとして描かれているが、その痛快さは、多くの人が心のどこかで求めていた理想の光景だった。
■スカッと笑って終われるからこそ共感が広がった
コメント欄には「このくらい言い返していい」「強すぎて笑った」といった声が相次ぎ、ただ怒りをぶつけるのではなく、笑いに昇華している点も支持を集めた理由のひとつだろう。伊東さん自身も「現実で同じことを推奨するものではない」としつつ、漫画だからこそ描ける“理想の返し”として、多くの共感を受け止めている。
取材協力:伊東(@ito_44_3)
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