●検察官「酌量の余地はない」
検察官は、高齢で認知症の被害者につけ込み、人格を無視した歪んだ性的欲求に基づく犯行であり、「酌量の余地は皆無」と厳しく非難し、拘禁刑10年を求刑した。
これに対して、弁護人は、暴行や脅迫を用いていない点や、解雇により今後介護業界に関わらないことなどを挙げて、寛大な判決を求めた。
被告人は最終陳述で「自身の課題として一生考え続ける」と述べたうえで、被害者とその家族、関係者、勤務先、自身の家族、そして報道を見て不快に感じた人々に対して謝罪の言葉を口にした。
被告人の言葉どおり、多くの人に不快感と不安を与えた事件である。ただ、一方で、この事件によって、日々誠実に介護の現場で働く職員たちが肩身の狭い思いをすることだけは、決してあってはならないとも感じさせられた。

