再構築を選んで半年後、由美子と哲司は挙式をしようということに。しかし、哲司の実家から届いた結婚式招待状の返信はまさかの「欠席」。義実家の冷たい拒絶に、由美子は再び失望を深めて…。
半年たっても再構築には至らず
話し合いから、半年が過ぎました。再構築を決めたとはいえ、私たちの関係は以前のようには戻りません。哲司はもう手を上げることはありませんでしたが、常にどこかギクシャクして、もめごとばかりの日々です。
「本当にこれで良かったのかな」
毎朝、鏡を見るたびにそう思いましたが、もう後に引けないという妙な意地もありました。両親には迷惑をかけた分、今度こそ幸せな姿を見せたかったのです。
話し合いの末、私たちは結婚式を挙げることにしました。ひとつのけじめとして結婚式をあげて、新たにやりなおしたいという思いもありました。そしていくつかの式場を見学にいき、挙式予定が決まったのです。
式場の契約も済み、招待状を発送したころのことでした。ポストに入っていた義実家からの返信ハガキを見て、私は目を疑いました。
義両親の欠席の連絡
「これ……」
返信欄の「欠席」の文字に、くっきりと丸がつけられていたのです。哲司にもなんの相談もなかったようで、彼が珍しく焦っていました。
「え、欠席?どういうこと?」
哲司は完全に動揺していました。
「俺、何も聞いてない…母さんに電話してみる」
彼が急いで電話した向こうで、義母は冷たい声で言ったそうです。
「今更、挙式だなんてもういいでしょ?別れるかと思ってたのに」
「母さん、もう決まったことだし、由美子の親は出席するんだから」
「それはあなたたちの勝手でしょう?夫婦でごちゃごちゃモメて、今更挙式だなんて恥さらしよ」
電話を切った哲司は頭を抱えましたし、私は、その場に立ち尽くしていました。悲しみを通り越した、冷たい失望感が胸を満たしました。
「なんであなたの両親がさらに引っ掻き回すのよ。私の親はこの状況でもお金の援助もしてくれるし、精一杯お祝いするって言ってくれているのに…」
声が震えました。この温度差は何?私の両親がどれだけ娘を思ってくれているか、夫も義両親もわかっていない。
「もとはといえば哲司の不倫と暴力が原因なのに、なんでそれを言わないの?『夫婦でもめて』って、全部あなたのせいでしょ?」
「いいだろ、もう俺は潔白だし、由美子と両親には謝っただろ?」
哲司は自分の不倫や暴力を義両親には隠していました。バレたら親族関係が最悪になると言われて、私も伝えたい気持ちを諦めていたのです。

