健康的な至適血圧を目指す・維持するための生活習慣とは?
血圧は、毎日のちょっとした習慣によっても変化するものです。健康的な血圧を保つためには、食事や運動など基本的な生活習慣を整えることが大切です。ここでは、生活習慣を改善するヒントを紹介します。
食生活の改善
脳心血管病の発症リスクが低いとされる至適血圧を目指す・維持するには、日々の食事が大切です。
とくに血圧が高めの方は、減塩を意識した食事を心がけましょう。日本高血圧学会では、高血圧の方の減塩目標を1日6g未満と推奨しています。しかしラーメンなど麺類の汁を全て飲み干すと、それだけで6g近い塩分を摂ってしまうことになるのです。汁を全て残せば2〜3gの減塩になります。ほかにも漬物や、干物、ハムやベーコンなどの加工食品には塩分が多く含まれますので、食べる頻度や量に注意が必要です。
一方、野菜や果物に含まれるカリウムには、体内の余分な塩分を排泄しやすくする働きがあります。減塩を意識するとともに、野菜や果物の摂取を心がけてください。
低血圧の方は、1日3回規則正しく食事を摂り、健やかな身体づくりを目指しましょう。たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足しないよう、主食、主菜、副菜のそろった食事を摂ることが理想です。また、適度な水分補給も大切です。喉が渇く前にこまめに水分を補給しましょう。
運動の習慣をつける
運動の習慣をつけることは、至適血圧を維持する・目指すうえでも重要です。
高血圧の方が定期的に有酸素運動を行うと、収縮期血圧は3〜5mmHg、拡張期血圧は2〜3mmHg下がることが期待されています。
低血圧の方も運動を習慣にすることで、血液循環の改善や、筋肉量の増加、体力アップが見込めます。その結果、低血圧に伴う症状が軽減されることもあるでしょう。
いずれの場合も、ウォーキングなど無理のない範囲で運動を始めることが大切です。
禁煙・禁酒を心がけましょう
喫煙や飲酒も血圧に影響を与えるため、できるだけ控えることが望ましいです。
とくに喫煙の影響は大きく、紙巻きタバコを1本吸うと、15分以上血圧上昇を引き起こすことが知られています。また喫煙は高血圧だけでなく、脳心血管病の発症リスク増加にも直接関わっています。したがって、低血圧の方であっても禁煙が望ましいです。
大量の飲酒も血圧上昇につながります。そのため、高血圧を管理するうえでは、男性の場合1日あたりエタノールで20〜30ml以下、女性は1日10〜20ml以下に制限することが望ましいとされています。なおエタノール20〜30mlは、ビール中瓶1本程度です。
一方で、飲み方によっては飲酒が一時的な血圧低下につながることも知られています。それゆえ、低血圧の方が飲酒すると血圧低下に伴う症状が悪化する可能性もあります。飲酒の際は、ご自身の体調に合わせて適度に楽しみましょう。
ストレス管理を意識して
ストレスの管理は、至適血圧を目指す・維持するために大切です。最近の研究で、心理的・社会的なストレスが高血圧の発症を2倍以上高めるとの報告がありました。
また、ストレスによって自律神経のバランスが乱れ、低血圧を引き起こすことも少なくありません。ストレスは誰もが感じるものですが、自分に適した対処法を見つけられるとよいですね。
「至適血圧とは」についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「至適血圧とは」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
至適血圧の「至適」とはどういう意味でしょうか?
伊藤 陽子(医師)
「至適」は、「最適な」という意味を持っています。至適血圧の場合は、脳心血管病の発症リスクが低いとされる理想的な血圧値のことを至適と表現しています。ただし、前述のとおり以前至適血圧と分類されていた血圧(120/80mmHg未満)は、現在「正常血圧」と定義されるようになりました。
至適血圧の方が正常血圧より低い数値なのでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
至適血圧と正常血圧は、同じ血圧値です。診察室血圧120/80mmHg未満のことを高血圧治療ガイドライン2014では至適血圧、高血圧治療ガイドライン2019以降では正常血圧と分類しています。なお、高血圧治療ガイドライン2019では家庭血圧での分類も定められるようになり、正常血圧は115/75mmHg未満です。
血圧が低ければ低いほど、至適血圧に近づけますか?
伊藤 陽子(医師)
血圧は低ければ低いほどよい、といったものではありません。血圧が低いことにより立ちくらみやめまいなどの症状がある場合や、ほかの病気や薬の影響で低血圧を引き起こしている場合には、至適血圧とはいえないのです。

