赤坂の「個室サウナ」で火災、夫婦死亡…店の法的責任は?非常ボタンの電源オフの可能性報じられる

赤坂の「個室サウナ」で火災、夫婦死亡…店の法的責任は?非常ボタンの電源オフの可能性報じられる

●亡くなった夫婦に子どもがいた場合はどうなる?

──火災で亡くなった被害者に子どもがいた場合、どのような影響がありますか。

仮に今回の火災で亡くなった夫婦に子どもがいた場合、その子どもが、夫婦それぞれに生じた損害賠償請求権を相続によって引き継ぐことになります。

事故や災害により、夫婦のどちらが先に亡くなったかを特定できない場合には、民法の「同時死亡の推定」が適用されて、全員が同時に死亡したものと推定されます(民法32条の2)。

この場合、夫婦間での相続は発生せず、子どもがそれぞれの親から損害賠償請求権を相続することになります。

請求できる内容としては、各親の死亡による逸失利益や慰謝料に加え、遺族固有の慰謝料も認められます。

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●今後の捜査のポイント「店の過失が認められるか」

──今後の捜査でのポイントはどこにありますか。

最大のポイントは、店舗側に過失が認められるかどうかです。

具体的には、ドアノブや非常ボタンの不備の程度、不具合がいつから生じていたのか、店舗側がそれを把握していたかどうかなどが捜査対象となります。

また、店舗側の過失と死亡結果との因果関係があるかどうかも重要です。そのため、死亡原因の特定についても、引き続き捜査が進められることになるでしょう。

また、店舗が法人である場合には、実際に刑事責任を問うことができる個人を特定する必要があります。法人自体は刑事責任を負わないため、会社内の自然個人、つまり役員や従業員のうち、誰がどのような責任を負う立場にあったのかが問題になります。

そのため、組織内の指揮命令系統や役割分担、権限関係などを詳細に調べたうえで、最終的に業務上過失致死罪として立件できる人物を選別することになります。

【取材協力弁護士】
澤井 康生(さわい・やすお)弁護士
警察官僚出身で警視庁刑事としての経験も有する。ファイナンスMBAを取得し、企業法務、一般民事事件、家事事件、刑事事件などを手がける傍ら東京簡易裁判所の非常勤裁判官、東京税理士会のインハウスロイヤー(非常勤)も歴任、公認不正検査士試験や金融コンプライアンスオフィサー1級試験にも合格、企業不祥事が起きた場合の第三者委員会の経験も豊富、その他各新聞での有識者コメント、テレビ・ラジオ等の出演も多く幅広い分野で活躍。陸上自衛隊予備自衛官(2等陸佐、中佐相当官)の資格も有する。現在、早稲田大学法学研究科博士後期課程在学中(刑事法専攻)。朝日新聞社ウェブサイトtelling「HELP ME 弁護士センセイ」連載。楽天証券ウェブサイト「トウシル」連載。毎月ラジオNIKKEIにもゲスト出演中。新宿区西早稲田の秋法律事務所のパートナー弁護士。代表著書「捜査本部というすごい仕組み」(マイナビ新書)など。
事務所名:秋法律事務所
事務所URL:https://www.bengo4.com/tokyo/a_13104/l_127519/

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