フェイクマミー
元ヤンで社長のシングルマザー・茉海恵(川栄李奈)とバリキャリ優等生・薫(波瑠)が、子どもの未来のために“母親なりすまし”という契約を交わした『フェイクマミー』(TBS系)も、現代社会が抱える子育ての難しさをテーマにしながらも、エンタメとして昇華させている良作でした。偽ママという嘘から始まり、周囲の人たちを巻き込みながら、関係者たちの繋がりや闇落ちを思わせる展開でハラハラドキドキするサスペンス的な要素がしっかりと組み込まれています。
母と子、そして家族の絆を描く希望の物語
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一方で、茉海恵の非公表の娘・いろは(池村碧彩)と、茉海恵・薫が家族として絆を深めていく様子や、茉海恵・薫それぞれの母親との関係性も丁寧に描かれました。
名門私立小学校が舞台だったこともあり、さまざまな母親が登場しますが、心を乱すことはあってもすべての母親が「子どもの幸せを願う」というスタンスが変わらない大団円の最終回であったことにも希望を感じます。
ザ・ロイヤルファミリー
そしてこの秋、全10話を通じて筆者が最も胸を熱くしたのは日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)。競馬の世界を舞台に、20年にわたって馬主と競走馬を中心に夢を追い続ける人たちの姿を描いた作品です。はじめから日曜劇場らしいクオリティではあったけれど、正直今ひとつ乗り切れていませんでした。しかし目黒蓮が本格的に登場した第6話から、一気に物語の展開に惹き込まれました。抗いようのない血の繋がりや、熱い気持ちに呼応していくように紡がれていく人々の想い。
その一つひとつが1話ごとに膨らみ大きくなっていき、毎話の山場となるレースには、彼らを観てきた視聴者もどんどん熱を帯びていったように感じます。ただの勝ち負けではない!最終話2025年の有馬記念のレース展開には、涙が止まりませんでした。
登場人物の誰もが、その役が持つ魂をそれぞれに表現しており、実力派俳優たちの熱演にも脱帽です。
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この秋クールドラマは名作揃いで、さまざまな作品に心動かされました。年明けまでその余韻を楽しみたいと思います。皆さんのお気に入りの作品はなんですか?
<文/鈴木まこと>
【鈴木まこと】
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201

