発声障害の治療
発声障害の治療は原因や症状の程度によって異なり、状態に応じて薬物療法や音声治療、外科的手術が選択されます。
主に職業上声をよく出す場合や急性喉頭炎などによって喉頭に炎症を認める場合には、薬物療法や音声治療を中心とした保存療法が行われます。
保存療法では、喉頭や声帯を安静に保つために発声を控え、喉頭や声帯の状態と声の質について経過観察を行います。
薬物療法
声帯炎や喉頭炎など細菌感染が原因の場合には抗菌薬が用いられます。また、発声障害の原因として声帯に赤みや出血を認める場合には、抗炎症作用や止血作用の期待できる薬剤や、粘膜を修復させる薬剤などを使用します。
発声する時に喉頭がけいれんする痙攣性発声障害に対しては、筋肉の緊張を和らげる「ボツリヌストキシン」の局所注射が行われることもあります。
このほか、精神的原因で発症障害を発症している場合には、抗不安薬などが用いられることもあります。
音声治療
音声治療は、声の出し過ぎや誤った発声をしている場合などに行われることがあり、単独で行われる場合と、薬物療法や手術と併用して行われる場合があります。
音声治療は言語聴覚士の指導のもと行われます。訓練方法としては「直接訓練」と「間接訓練」があり、発声障害を引き起こす原因や症状に応じて選択されます。
直接訓練では、発声障害の原因となる異常な声の出し方を正したり、喉頭の筋肉の緊張を緩めることで発声に関わるプロセスを包括的に調整したりする治療が行われます。
一方の間接訓練では、声の出し方だけでなく、生活習慣の改善指導やストレスマネジメントなどが行われます。
外科的手術
ポリープや結節などの良性疾患や声帯麻痺、声門閉鎖不全、機能性発声障害、痙攣性発声障害、悪性疾患などが原因の場合には、外科的手術が考慮されるケースがあります。
術式は原因となる疾患によってさまざまです。例として、ポリープや結節、声門閉鎖不全に対しては、声帯病変の切除や、脂肪やコラーゲンを声帯に注入する「声帯内注入術」などが行われることがあります。
手術は全身麻酔で行われるほか、局所麻酔を用いて鼻から内視鏡を挿入して行うケースもあります。
発声障害になりやすい人・予防の方法
急性喉頭炎などの炎症性疾患や、喉頭のポリープ、結節、発声に関わる組織の悪性腫瘍、反回神経麻痺などの疾患を発症している人は、発声障害になりやすいといえます。
このような疾患を認める場合には、音声言語専門医・音声言語専門士がいる医療機関を受診して、適切な治療を受けるようにしましょう。
また、喫煙習慣がある人や職業上よく声を出す人も発声障害になりやすい傾向があります。禁煙し、声を使い過ぎないよう心がけることが重要です。
関連する病気
反回神経麻痺喉頭癌
肺癌
下咽頭癌
甲状腺癌
食道癌
急性喉頭炎
声門閉鎖不全
喉頭ポリープ
喉頭結節
膠原病甲状腺機能低下症胃食道逆流症気管支喘息うつ病機能性発声障害
器質性発声障害
痙攣性発声障害筋緊張性発声障害
参考文献
日本音声言語医学会・日本喉頭科学会「音声障害診療ガイドライン(2018年版)」
一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「音声・言語・嚥下の異常」
牧山清著「機能性発声障害の診断と治療」
岡山県医師会「音声障害について」
深堀光緒ら「声帯 内 注入術の治療効果と問題点-難治症例を中心に- 」
国立研究開発法人国立がん研究センター「喉頭がんについて」
難病医学研究財団難病情報センター「声帯溝症(平成21年度)」
日本 気管 食道 科学会「気管食道科に関連する疾患・症状」
関西医科大学附属病院「音声障害(声枯れ)」

