「足がすくんで上手く歩けなくなる」のは”何の初期症状”?他の原因も医師が解説!

「足がすくんで上手く歩けなくなる」のは”何の初期症状”?他の原因も医師が解説!

ある日、何気なく歩いていたのに、突然足が前に出なくなった。そのような経験をしたことはありませんか?足がすくむ症状は、日常生活に支障をきたすだけでなく、心理的にも大きな不安を引き起こします。

この記事では、なぜ足がすくむのか、どのような病気が隠れているのか、そしてどう対処すればいいのかを、わかりやすく説明していきます。予防法や病院に行くべきタイミングについても触れていくので、最後までお読みください。

伊藤 たえ

監修医師:
伊藤 たえ(医師)

浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

足がすくんで上手く歩けなくなる理由

足がすくんで歩けなくなる主な原因は、神経系のトラブル、加齢による筋力低下、心理的要因やストレスの3つです。

神経系のトラブル

一つ目は、神経系のトラブルです。私たちの身体は、脳からの指令で動いています。この指令系統に問題が起きると、足がうまく動かなくなることがあります。特に、動きのリズムを司る脳の部分に異常があると、足がすくみやすくなります。

例えば、パーキンソン病という病気では、歩き始めの一歩が出にくかったり、歩いている途中に突然足が止まってしまったりすることがあります。これも神経系のトラブルが原因です。

加齢による筋肉の衰えや筋力不足

二つ目は年齢とともに避けられない筋力の低下です。若い頃と比べて足の筋肉が弱くなってくると、バランスを取るのが難しくなります。すると、転ばないように無意識のうちに足がすくんでしまいます。また、関節が硬くなるのも年齢の影響です。これも滑らかな歩行の妨げになります。

心理的要因やストレスの影響

三つ目は、意外かもしれませんが心の問題です。「転んだらどうしよう」という不安や、過去に転んだ怖い経験が、知らず知らずのうちに足をすくませてしまうことがあります。日々のストレスや悩み事も、体を緊張させて歩きづらくさせる原因になります。心と身体は密接につながっています。

足がすくんで上手く歩けなくなるときに考えられる病気

足がすくんで上手く歩けなくなる症状には、さまざまな病気が隠れている可能性があります。ここでは代表的な病気をいくつか解説します。

パーキンソン病

一つ目はパーキンソン病。これは脳のなかの物質であるドパミンが減ってしまう病気です。特徴的なのがすくみ足で、歩き始めの一歩が出にくかったり、歩いている途中で急に止まってしまったりします。また、小刻みで前かがみの歩行が特徴的です。

治療法としては、投薬治療やリハビリといった方法があります。パーキンソン病の場合、早めに治療を始めると症状の進行を遅らせることができる可能性があります。

脳梗塞や脳卒中後遺症

次に脳梗塞や脳卒中の後遺症があります。もし、脳の一部が傷ついてしまうと、身体の一部が麻痺したり、感覚がおかしくなったりして、スムーズに歩けなくなることがあります。なかには、筋肉が常に緊張して硬くなる痙性麻痺という状態になり、それが原因で足がすくむこともあります。

このような場合は、早めにリハビリを始めるのが大切です。適切な訓練を続けていけば、歩く機能を取り戻せる可能性が高まります。

その他の神経疾患

ほかにも足がすくむ原因となる神経の病気はいくつかあります。
例えば、下記のようなものがあります。

脊髄小脳変性症
小脳や脊髄の神経細胞が減少し、バランスを取るのが難しくなる病気です。

多発性硬化症
中枢神経系に炎症や脱髄が起こる自己免疫疾患で、歩行障害の一つとして足がすくむことがあります。

正常圧水頭症
脳脊髄液の循環障害により脳室が拡大し、歩行障害などの症状が出ます。

これらの病気は一般の人には少しわかりにくいかもしれません。もし足がすくむ症状が気になるなら、医師に診てもらいましょう。

配信元: Medical DOC

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