このような悩みやストレスを抱えていませんか?
コンタクトレンズを使用しているけど、目の乾きや赤みなどの違和感がある
子どもと公園で遊ぶとき、眼鏡だと煩わしさと感じる
ドライアイのため眼鏡を使用しているけど、旅行などで眼鏡の姿が写真に残るのが嫌
スポーツやレジャーでコンタクトレンズや眼鏡を気にしなければいけないのがストレス
朝は子どもの準備もあって、コンタクトレンズを装用する時間も節約したいほど慌ただしい
特にお子さんがいるご家庭ではお子さん中心の生活になりがちで、コンタクトレンズや眼鏡の煩わしさから解放されたいと感じることもあるでしょう。
ICL手術(Implantable Contact Lens:眼内コンタクトレンズ)は、こういった悩みを抱えていて生活の質を向上させたい方や美容・ライフスタイルを大切にしたい方、コンタクトレンズや眼鏡を気にせず過ごしたい方たちから注目されている“角膜を削らない視力矯正手術”です。
しかし、「安全性は高い?」「手術後、子どもの世話に支障は出ない?」「メイクやおしゃれは制限されない?」など、気になることはたくさんありますよね。
そこで今回は、日本眼科学会 眼科専門医でICL手術のスペシャリストである女性眼科医2名に、女性ならではの視点を交えながら詳しくお話を伺いました。
監修医師:
繪野 亜矢子(えの あやこ)
(えの眼科クリニック 理事長・院長)
【所属学会】
日本白内障屈折矯正手術学会
日本網膜手術学会
日本眼科手術学会
欧州白内障屈折矯正学会
米国眼科学会 等
監修医師:
石川 恵里(いしかわ えり)
(小沢眼科内科病院 副院長)
【所属学会】
日本眼科学会
日本眼科手術学会
日本眼形成外科学会
日本白内障屈折矯正手術学会
日本近視学会 等
【基礎知識】ICL手術ってどんな手術?
視力矯正の新しい選択肢として注目されるICL手術ですが、レーシックとの違いや手術の所要時間などの基礎知識を理解することが大切です。まずは、ICL手術の基礎について確認しましょう。
ICL手術とはどのような治療法ですか?
石川先生
ICL手術は、目の中に小さな眼内レンズを挿入して視力を矯正する方法です。角膜を削って視力を矯正するレーシックとは異なり、角膜の厚みや形状にほとんど影響を与えません。そのため、角膜が薄い方や強度近視の方でも手術を受けられる場合が多いのが特長です。ICL手術の所要時間や痛みは?
石川先生
ICL手術は、点眼による麻酔を使用して行います。麻酔注射ではないため麻酔時の痛みはなく、手術中も痛みを感じることはほとんどありません。手術自体は両眼で20〜30分ほどと短時間で終わり、入院の必要もなく日帰り(※)で受けられます。
※術前検査・術後の経過観察が必要です
手術前にどのような検査を行いますか?
石川先生
詳細な視力検査で近視や乱視度数を測定、加えて角膜の厚みや虹彩の形状の解析を行います。また、眼底検査や眼圧測定、涙液の状態の確認も行い、安全に手術できる条件を満たしているかを確認します。これらのデータをもとに、適切なレンズの度数・サイズを選定します。どのような方がICL手術に向いていますか?
繪野先生
ICL手術は、コンタクトレンズや眼鏡の使用の煩わしさから解放されたいと感じている方に特に向いています。また、角膜を削らないため、もともと角膜が薄い方や強度近視の方、乱視が強い方など、レーシックが適応外とされる方の治療の選択肢ともなります。
ほかの眼疾患をお持ちの方はICL手術に向かない場合もあります。
目の状態や生活スタイルによって適切な治療法は異なるため、まずは検査とカウンセリングでご自分の眼が向いているのかどうかを確認することが大切です。
近年、ICL手術が注目されている理由は何でしょうか?
繪野先生
コンタクトレンズを使い続ける生活は、乾燥や痛み、レンズのトラブルなどのリスクがつきものです。眼鏡ではかけ外しの煩わしさに加えて、高い質の見え方が得られないことがしばしばあります。ICL手術はそうした日常の煩わしさから解放され、裸眼でクリアな視界を得られる治療として注目を集めています。角膜を削らないため、より自然な見え方を得られる点も注目されている理由の一つで、より快適なライフスタイルへの関心度が高い女性を中心に選ばれています。
信頼性の高さと審美的な満足度の両面を兼ね備えた治療法として、幅広い世代から関心が高まっているといえるでしょう。
ICL手術の気になるポイントや疑問を徹底解説!
ICL手術を検討する際、多くの方が気になるのは術後の生活や仕事復帰、見た目の変化などではないでしょうか。ここでは実際に寄せられる不安や疑問を一つひとつ取り上げていきます。女性ならではの疑問や気になるポイントに、石川先生と繪野先生が丁寧に答えてくれました。
仕事は何日休む必要がありますか?
石川先生
多くの方は翌日から通常業務に復帰できます。ただし、長時間のパソコン作業などは眼に負担がかかるので、無理のない範囲で行ってください。粉塵が多い現場作業は、医師と相談のうえ、保護メガネ装用下で行っていただくと安全です。ダウンタイムはどのくらいですか?
繪野先生
ICL手術は術後の回復が早く、ほとんどの方が翌日には良好な視力を実感されています。手術直後は少しぼやけて見えたり、光がまぶしくぎらぎら感じたりすることがありますが、これらは一時的なもので多くの場合は数日〜1週間ほどで自然に落ち着きます。レンズは見た目でわかりますか?目の印象に変化はありますか?
石川先生
レンズは黒目(虹彩)の後ろに入るため、外から見てもまったくわかりません。目の色や印象が変わることはなく、周りの人にレンズが入っていると気づかれることはまずないでしょう。手術当日はメイクをしても大丈夫ですか?
石川先生
手術当日全てのメイク、油分のある保湿剤・日焼け止めは控えてください。まつ毛の根元や目元を清潔に保つことによって、感染予防につながります。まつエクはしてても大丈夫ですか?また、手術後のアイメイクやまつエクはいつからしてよいですか?
石川先生
原則、手術前にマツエクは外してもらうのが安全です。付けたままでも器械的にはICL手術は可能ですが、以下の理由でリスクが上がります。
まつ毛・接着剤片の脱落から角膜創からの感染リスクや角膜障害につながる恐れがあること
まつ毛周囲の清拭が不十分になりやすいこと
術後のアイメイクやまつエクの付け直しは、医師と相談のうえ、術後2週間以降にしてください。
石川先生
二重整形歴があってもICL手術は可能です。まぶたの皮膚手術と眼内手術は部位が異なるため基本的に影響はありませんが、まぶたの形状が角膜乱視に影響することはあるので、過去の手術内容や周術期(手術前後)に目元の美容医療を受けることを考えていらっしゃる場合は必ずお知らせください。術後にカラコンは使えますか?まつ毛パーマやラッシュリフトはいつからできますか?
石川先生
カラーコンタクトは、術後の眼内レンズが安定してから使用可能になります。目の状態や回復のスピードには個人差がありますが、一般的には 2週間〜1ヶ月ほど空けてから、医師の確認を受けて再開しましょう。
まつ毛パーマやラッシュリフトも同様で、まぶたを強く引っ張ったり薬剤が目に入ったりすると炎症を起こす恐れがあるため、十分な回復を待つことが大切です。
手術後に運動やジムはいつから再開できますか?
石川先生
軽い運動は翌日から可能ですが、負荷のかかる筋トレや激しい長時間の運動は術後1週間以上経過して、医師に確認のうえ行ってください。水泳やサウナは約1ヶ月後が目安です。花粉症や季節のアレルギーがあっても手術は受けられますか?
繪野先生
花粉症や季節性アレルギーがあっても、基本的にはICL手術を受けられます。むしろ、花粉症でコンタクトレンズを使っている方にこそ、ICL手術は選択肢の1つです。というのも、花粉症の方はかゆみや充血、涙などの症状でコンタクトレンズが汚れやすく、長時間の装用がつらくなることがあります。ICL手術を受けると花粉症などのアレルギー症状の不快感から解放され、症状の悪化を防ぐことにもつながります。
手術当日に必要な持ち物や服装の注意点はありますか?
繪野先生
必要な持ち物は特にありませんが、手術直後にホコリや異物が入らないように、できれば前開きのお洋服が望ましいです。年齢によって手術の適応や効果は変わりますか?
繪野先生
近視で、40歳以上の方はすでに調節力の低下、つまり老眼が生じています。ICL手術によって遠方がよく見えるようになる代わりに、手術前より手元が見えにくいと感じることがあります。手術前にシミュレーションを行ったうえでICL手術の適応を決定しますが、実際に体験しないとわからないことがありますので、術前に医師とよく相談しましょう。ご希望があれば老視用のICL手術についても相談できますよ。手術で入れたレンズは、一生そのままで平気なのですか?
繪野先生
はい、基本的にICL手術で入れたレンズは安定して機能するよう設計されており、一生そのまま使い続けることができます。手術直後に交換や調整が必要になるケースは多くありませんが、長い経過においては年齢を重ねると誰にでも起こり得る白内障が発症して、それが原因で見えにくくなることがあり、ICL手術で挿入したレンズを取り外して白内障手術をすることが可能です。その結果、再び良好な視界を取り戻せます。ICL手術後は、長期的に安心して良好な見え方を獲得できて、必要時には取り外すこともできるため、将来の変化にも柔軟に対応できる治療法だといえるでしょう。
妊娠中や授乳中、生理中に手術は受けられますか?
繪野先生
生理中の手術は問題ありません。妊娠中は、初期は避けて安定期になってから手術を受けた方がよいでしょう。授乳中でも基本的には問題ありませんが、術後に点眼が必要ですので、医師に相談してください。手術したらすぐに育児や家事に戻れますか?
繪野先生
はい、ICL手術は眼の表面への負担が少なく、痛みや腫れも軽いので多くの方は翌日から日常生活に戻ることができます。家事やお子さんのお世話なども、無理のない範囲であれば翌日から再開可能ですが、ただし点眼を忘れないようにしてください。術後は目を強くこすったり、水や洗剤が目に入ったりするような作業を避け、洗顔や入浴も医師の指示を守って慎重に行ってください。
妊娠後期にICL手術を受けたある女性は、出産時に赤ちゃんの顔がはっきり見えて感動したと仰っていました。また、夜中の授乳など暗いなかでも眼鏡なしで赤ちゃんや周りの物が見えて、育児しやすいという方もいます。
「小さな子どもがいるから難しいかも」と心配される方でも、実際は思ったより早く普段の生活に戻れるケースがほとんどです。家事や育児を頑張るママ世代にも選ばれている理由の一つですね。

