にぎわいごと味わう“正しい寿司屋”
この日は一人で晩酌をする男性、家族で楽しむグループ、隣のテーブルでは夫婦らしきふたりが静かにグラスを傾けていた。みんな違うテンポで、でも同じ空気を分け合っている。
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ここには「しっぽり」は似合わない。にぎやかさも、寿司のうち。
ネタは毎日変わるけれど、注文に迷ったら「上にぎり」(1,580円)が正解。まぐろ、はまち、たい、えび、いくら、うなぎ──すべて一貫ずつ、握りも大きめ。ハケで軽くたれを塗る大将の所作にも、年季が滲む。
茶碗蒸しは出汁の香りがふわりと立ちのぼり、8種の具もごろっとして食べ応えがある。

赤だしを添えて、チューハイを一杯。赤だしは、あさり、魚、卵から選べるのも嬉しいところ。どれを選んでも、寿司の余韻をふわりとやさしく包んでくれる。
寿司は、好きなものから食べればいい
順番なんて、気にしない。好きなものを、好きな順で食べればいい。芽ネギから入っても、うなぎで締めても、誰も気にしない。ここでは“お作法”よりも、“食べたい気持ち”が正解になる。
だからこそ、誰にとっても「いい寿司屋」でいられるのかもしれない。
