蚊が媒介する感染症「ウエストナイル熱」をご存じですか? 発熱から神経症状までの特徴を医師が解説

蚊が媒介する感染症「ウエストナイル熱」をご存じですか? 発熱から神経症状までの特徴を医師が解説

ウエストナイル熱の治療

ウエストナイル熱に特効薬はありません。そのため、症状を和らげることを目的とした治療が行われます。熱が高い場合は解熱剤を使い、十分な水分を取って安静にすることが大切です。重い神経症状がない場合は、自然に良くなっていきますが、しばらくの間、体のだるさが残ることがあります。

脳や神経に症状が出た重症の患者は、入院が必要です。脳の腫れに対してはステロイドという薬を使うことがあり、けいれんが起きた場合はそれを抑える薬を使います。患者の意識が低下した場合は、呼吸を確保するために人工呼吸器を使うこともあります。手足の麻痺が起きた場合は、できるだけ早い段階からリハビリを始めることが大切です。

もし、後遺症として神経症状が残ってしまった場合は、長期的なリハビリが必要になります。

ウエストナイル熱になりやすい人・予防の方法

ウエストナイル熱は、高齢者で重症化しやすいことが分かっています。年齢が上がるにつれて重症化リスクは高まり、脳や神経に症状が出やすくなります。

また、がんや糖尿病、高血圧などの持病がある方も重症化しやすいことが分かっています。特に臓器移植を受けた後で、免疫力を抑える薬を使っている患者は、とくに注意が必要です。

予防効果のある特効薬やワクチンは、現状ありません。そのため、予防の基本は蚊に刺されないようにすることです。流行している地域に行く場合は、長袖や長ズボンを着て肌の露出を減らし、効果の確かな虫除け剤を使いましょう。また、ウエストナイル熱の媒介蚊が活発に活動する夕方から夜間は、できるだけ外出を控えることも大切です。


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参考文献

厚生労働省「ウエストナイル熱の診断・治療ガイドライン」

国立感染症研究所「ウエストナイル熱/ウエストナイル脳炎とは」

National Library of Medicine「West Nile Virus: Review of the Literature」

配信元: Medical DOC

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