裁判のやり直し「再審」に関する法改正をめぐり、犯罪被害者の遺族や支援する弁護士らが12月18日、再審開始を判断する要件の緩和などに反対する要望書を平口洋法務大臣に提出した。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●検察官の不服申し立て禁止にも「反対」
要望書では、一度確定した判決をやり直す再審のルールについて、法制審議会での議論や超党派の議員連盟がまとめた法案を踏まえて、項目ごとに賛否を表明した。
<反対>
・再審開始の要件緩和
・検察官の不服申し立ての禁止
・再審請求手続き中の死刑執行の停止
<条件付き賛成>
・証拠の早期開示
<賛成>
・裁判官の除斥・忌避
●再審請求中の死刑執行停止「判決の意味がなくなる」
要望書を提出した「犯罪被害者支援弁護士フォーラム」の弁護士らはこの日、法務大臣との面会後、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開いた。
会見には、2007年に愛知県名古屋市で起きた「闇サイト殺人事件」で、娘の磯谷利恵さん(当時31歳)を殺害された母の富美子さんも参加した。
加害者3人のうち1人はすでに死刑が執行されていることに触れ、死刑囚による再審請求を念頭に「これがまかり通ると、死刑という判決自体の意味がまったくなくなる」とうったえた。
同フォーラムの事務局長をつとめる高橋正人弁護士は、日弁連が提案している「再審開始の要件を広げる案」について、「こんなことで再審を認めたら、事実上、4審、5審などと永遠に続くことになり、司法制度に対しても不信感が募る」と批判した。
一方、証拠の早期開示については「無罪となる明らかな証拠があるならさっさと開示してほしい」と述べた。そのうえで、性犯罪事件に限っては、再審によって性的な画像などが開示される可能性があることを懸念し「証拠開示を絶対にやめてほしい」として、条件付きで賛成する考えを示した。

