認知症を発症すると記憶障害等が起こり、日常生活に支障をきたします。老化による「物忘れ」と混同されがちですが、認知症は老化ではなく病気なのです。
年齢が高くなるほど発症の可能性が高くなり、65歳以上では7人に1人の割合で発症しています。近い将来、5人に1人になると推察されています。
また、働き盛りの世代でも発症するリスクはあり、誰もがかかる可能性のある病気です。
ここでは、自分や家族が「認知症かも」と思った場合の対処法を紹介します。病気ですから、早期発見と治療が大切です。
※この記事はメディカルドックにて『「認知症」とは?症状・原因についても解説します!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。大阪急性期・総合医療センター外科後期臨床研修医、大阪労災病院心臓血管外科後期臨床研修医、国立病院機構大阪医療センター心臓血管外科医員、大阪大学医学部附属病院心臓血管外科非常勤医師、大手前病院救急科医長。上場企業産業医。日本外科学会専門医、日本病院総合診療医学会認定医など。著書は「都市部二次救急1病院における高齢者救急医療の現状と今後の展望」「高齢化社会における大阪市中心部の二次救急1病院での救急医療の現状」「播種性血管内凝固症候群を合併した急性壊死性胆嚢炎に対してrTM投与および腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し良好な経過を得た一例」など。
自分や家族が「認知症かも」と思ったときはどうする?

認知症は自分で気づくことができますか?
高齢になって物忘れがひどくなると「認知症かも」と気付く方も少なくありません。しかし、自ら医療機関を訪れる方は少ないのが現状です。
また頑として、認知症であることを認めない方もいます。そもそも、自分が物忘れをした事実を忘れているのですから、認めないのも仕方ありません。認知症に対する偏見があるのも事実です。
ネットでは「認知症のチェックリスト」が公開されています。医療機関に行きにくい方は、まずはセルフチェックをしてみましょう。
家族に認知症の疑いがあるときはどうすればいいですか?
家族に認知症の疑いがあるときには、まずは専門医に相談しましょう。認知症に症状が似た、他の病気という可能性もあります。適切な治療や介護を受けるためにも、アルツハイマー型か、他の認知症かの診断は必要なのです。
一口に認知症といっても、種類によって症状が異なり、介護の内容も変わってくると考えられています。本人も家族も快適に過ごすためには、認知症の種類と特徴を知ることが大切です。
認知症は早期発見・治療が大切なのですね。
老化による物忘れは病気ではありませんが、認知症は脳の障害によって引き起こされる病気です。そのため、早期発見・治療がとても大切になってきます。早期発見によって、認知機能のトレーニングや生活習慣の見直しを早く始めることができるからです。早く始めれば、それだけ自立した時間を長く過ごすことが可能になると考えられています。
また、早期治療することで、治る可能性のある認知症もあります。慢性硬膜下血腫・甲状腺機能低下症・脳炎といったことが原因で起こる認知症は、元の疾患を治療することで完治が可能です。
特に、特発性正常圧水頭症は「治る認知症」として知られています。特発性正常圧水頭症は高齢者に多くみられる疾患で、認知障害や歩行障害を引き起こします。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
認知症は早期発見・治療することで、その後の人生を楽に暮らせると考えられています。日常生活での変化を見逃さず、気になることがあれば医療機関で受診しましょう。
また、認知症はアルツハイマー型認知症と脳血管性認知症が大半を占めますが、他の認知症の場合も多くあります。そのため、受診する場合は、認知症の専門医に診てもらいましょう。
編集部まとめ

高齢社会の日本では、認知症の人の数は年々増えると推察されています。
認知症の予防のためには、高血圧・糖尿病・肥満などの生活習慣病を治療することが大切です。適度な運動やバランスの良い食生活、良質な睡眠を心掛けましょう。
気になることがあれば、すぐに専門医で受診することをおすすめします。
参考文献
厚生労働省知ることからはじめようみんなのメンタルヘルス
若年性認知症|健康長寿ネット

