歯や歯茎に問題はないのに、口内が痛い・口が開けられない・顎が痛い・頸部が痛いなど長く続く痛みをかかえて辛い思いをしている人がいます。
口の中やその周辺、頸部や顔面の痛みなどを総称して「口腔顔面痛」と呼びます。痛みの原因がわからず、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
こちらでは口腔顔面痛についての質問にお答えしています。
※この記事はメディカルドックにて『「口腔顔面痛」とは?症状・原因についても解説【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修歯科医師:
柴原 孝彦(東京歯科大学名誉教授)
著書は「口腔顎顔面外科学(医歯薬出版)」「標準口腔外科学(医学書院)」「カラーアトラス コンサイス口腔外科学(学建書院)」「口腔がん検診 どうするの、どう診るの(クインテッセンス出版)」「衛生士のための看護学大意(医歯薬出版)」「かかりつけ歯科医からはじめる口腔がん検診step1/2/3(医歯薬出版)」「エナメル上皮腫の診療ガイドライン(学術社)」「薬剤・ビスフォスフォネート関連顎骨壊死MRONJ・BRONJ(クインテッセンス出版)」「知っておきたい舌がん(扶桑社)」「口腔がんについて患者さんに説明するときに使える本(医歯薬出版)」など。
口腔顔面痛の予後と注意点

口腔顔面痛は治りますか?
原因の判明しているものに関しては、その元となる病気の治療を行うことで口腔顔面痛は完治する可能性が大きいです。
原因不明で口腔顔面痛と診断された場合もさまざまな治療が行われて改善に向かうことが報告されています。検査の結果特に深刻な病気ではないと診断されたら、結果を急がずにゆったりと痛みが少しでもやわらぐように気持ちを切り替えることも大切です。
また認知行動療法で症状の原因につながる行動が判明し、それを修正することで痛みが緩和されることもあります。
病気の診断までに時間がかかると聞いたことがあります…。
痛みを感じ始めて口腔顔面痛と診断されるまでに時間がかかることも多く、診断のつきにくい病気といえます。
原因が判明した場合は比較的早い改善が期待できますが、原因が不明の場合は特に時間がかかることが多いのです。
口腔顔面痛と診断されてからも複数の診療科との連携が必要となる場合もあります。専門医に相談しながら焦らず治療を受ける気持ちが必要になります。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
急に襲ってくる口の周辺や顔の痛みは本当に辛いものです。痛みが長く続く場合には深刻な病気が隠れている場合もあるので、早めに検査を受けてください。
原因が解明されない場合でも、痛みを軽減させるためのさまざまな治療方法があります。口腔顔面痛外来のある歯科や口腔顔面痛の専門医のいる病院を受診し相談してください。
メンタル面での治療が痛みの軽減に関わることも多いです。焦らずにゆったりとした気持ちで病気と向き合って乗り越えていきましょう。
編集部まとめ

今回は口腔顔面痛の質問にお答えしました。口腔顔面痛は顔・頭・口の中・口の周辺・頸部などに感じる強い痛みの総称です。
病気が原因で痛みが出る場合もありますが、多くは原因のわからない痛みで不安や悩みを抱えている人が多いのです。
今は口腔顔面痛外来を設けている歯科もあり、さまざまな方法で痛みを軽減するための治療が行われています。
専門医のいる病院で相談することで、不安や悩みが軽減し痛みの緩和につながることもあります。
専門医にしっかりと悩みや思いを伝えて前向きに口腔顔面痛と向き合い、自分に合った治療を受けるようにしてください。
結果を急がず、痛みを完全に取ることよりも少しずつ痛みを抑えることを目的とした治療を行いながら完治を目指すことが大切です。
参考文献
口腔顔面痛とは?|日本口腔顔面痛学会
あなたに合った歯科治療Vol.1-口腔顔面痛外来-|九州大学病院
歯性感染症|慶応義塾大学病院医療・健康情報サイト

