近年はマウスピース型矯正装置の進化によって、歯列矯正の選択肢が広がっています。こうした中、従来のワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置、どちらが自分に合っているか迷う人も少なくないようです。そこで、それぞれの治療の費用や治療期間、通院頻度などについて「日本橋ひびき矯正歯科」の小泉先生にお聞きしました。

監修歯科医師:
小泉 響子(日本橋ひびき矯正歯科)
長崎大学歯学部卒業。東京医科歯科大学での研修後、日本歯科大学附属病院矯正歯科や都内8施設で矯正歯科治療の経験を重ねる。2023年、東京都中央区に「日本橋ひびき矯正歯科」を開院。健康寿命の延伸に寄与する歯科矯正の重要性を説き、機能性と審美性の両面から最適な治療法を提案する。日本矯正歯科学会認定医。日本顎変形症学会、日本舌側矯正歯科学会の各会員。
編集部
ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置の、それぞれの費用の目安を教えてください。
小泉先生
矯正治療の費用に関しては、受診する歯科医院や装置の種類、さらに地域などで大きく変動します。東京都内の一般的な相場でお話しすると、表側に装着するワイヤー矯正が80~100万円程度、裏側に装着するワイヤー矯正が110~140万円程度です。マウスピース型矯正装置はこの中間の価格帯に位置しますが、歯科医院によって費用の幅が広いのが特徴です。これらの費用は装置のみの料金で、これに検査費や調整料などがかかります。
編集部
治療期間について、両者でどのくらいの違いがありますか?
小泉先生
治療期間は、最初の歯並びの状態によって大きく異なります。一般に、軽度から中等度の歯並びの場合は、両者で治療期間に大きな差はありません。標準的な期間は2年~2年半程度で、症状が軽い歯並びであれば1年程度で終わることもあります。一方で、難しい症例の場合は、ワイヤー矯正の方が治療期間は短い傾向にあります。
編集部
通院の頻度について、両者の治療法で違いはありますか?
小泉先生
ワイヤー矯正の場合は一般に4~6週間に1回、マウスピース型矯正装置は通常1カ月半~2カ月に1回の通院になります。ただし、装置の使用状況によってはこれよりも短い間隔で通院していただく場合もあります。装置をきちんと使用できているかも、通院間隔を決める重要な要素です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
小泉先生
矯正治療の方法を決めていくうえで最も重要なのは、詳細な検査と診断です。ご自身の歯並びを治すにはどの治療法が最適なのか、その装置で確実に治せるかを慎重に見極めることが必要です。そのうえで、治療の費用や期間について十分な説明をうけ、ご自身で納得してから治療を開始することをおすすめします。また、いずれの治療法でも、患者さんのご協力が治療の成功を大きく左右します。ワイヤー矯正とマウスピース型矯正装置、それぞれの特徴や注意点をよくご理解のうえ、ご自身の性格やライフスタイルに合った治療法をぜひ見つけていただきたいと思います。
※この記事はメディカルドックにて<ワイヤー矯正orマウスピース型矯正装置、どちらがあなたに合っている? 判断基準を歯科医が解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
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