2025年10月28日、京王電鉄バスグループ(以下、京王バスと表記)は「完全キャッシュレスバス」の実現に向けて推進すると発表しました。運行は調布営業所の管内路線から順次スタート。支払い方式は交通系ICカードとクレジットカード、定期券などとなり、現金の取り扱いはありません。
乗降時の時間短縮が期待される一方、懸念点もあります。スムーズな運用は実現できるのか、利用者目線の不安を京王バスに取材しました。
「後払い方式どうなる?」「車内チャージは?」 利用者の不安の対策は?
実証運行区間では現金が一切使えなくなるため、SNSでは「残高不足や通信障害の対策は?」「交通系ICカードを持っていない観光客はどうすれば?」といった声があがっています。乗車しようとした際に残高不足に気づくなど、これまで現金でフォローできていたトラブル時の対応に不安を持つ人も少なくないようです。
こうした声に対し、京王バスは「バス車内での交通系ICカードへの車内チャージ機能は、お客様の利便性を考慮し、当面の間(2027年度時点)は継続いたします」と回答。ただ、将来的には廃止予定ということもあり、「今のうちから駅やコンビニエンスストアなど、車内以外での事前チャージへのご協力をお願いしてまいります」と、併せて周知も徹底するということでした。
通信障害や機械故障のトラブルについては、「車両側の機械故障については、キャッシュレスのみならず、現金での対応でも発生しうる共通の課題であり、むしろ運賃機の現金取り扱い機能のほうが故障対応は多い現状です。キャッシュレスのみの弊害ではないと考えております」とコメント。加えて、「いずれの事態にも適切に対応できるよう、引き続き対策に努めてまいります」と回答しました。
複数人分のまとめ払いは「すでに対応済み」
またSNSでは、自動的に支払いが完了するキャッシュレス決済では、複数人分をまとめて支払いたい場合にどうしていいか分からないという声も聞かれました。
ただ京王バスによると、キャッシュレスでの複数人分の支払いについては、現状すでに対応しているとの回答がありました。支払い時に運転士へその旨を伝えれば、交通系ICカードでも複数人分まとめての支払いができるようです。
それでは、交通系ICカードを持っておらず、キャッシュレス決済に不慣れな人が乗車する場合は、どうすればいいのでしょうか? 近年は海外からの旅行客も多く、トラブルになってしまわないかという心配もあります。
こうした不安に対し、京王バスは対応可能なキャッシュレス決済の種類を拡大予定。「交通系ICカードは、交通系ICカード全国相互利用サービスに加盟しているカードであれば、地方のカードもご使用いただけます。また今後、クレジットカード決済対応も拡大する予定です」とのことでした。

