アルツハイマー型認知症になった実母のことや、アラフィフ主婦の日常をあれこれ書き連ねるワフウフさん。自身の体験をマンガにしています。
母・あーちゃんが暮らす施設のスタッフさんたちは、皆感じがよく、ワフウフさん姉妹も心から感謝しています。しかしその一方で、もう少し普段の様子を報告してほしいと思うことも……。特に、施設のかかりつけ医があーちゃんの糖尿病の薬を、ワフウフさん姉妹に断りなく減らしていたことにはモヤモヤしていました。かかりつけ医は糖尿病の専門医ではないため、本当にこのままお任せしていて大丈夫なのか、ワフウフさん姉妹は不安になってしまいました。
記憶はなくても好みは変わらず
あーちゃんが認知症の病院に行く日。全身フル装備でオシャレをしているあーちゃんに「かわいいね!」とワフウフさん姉妹が声をかけると、うれしそうにしていました。診察時も、先生や看護師さんからオシャレを褒められ、あーちゃんのテンションは爆上がり。そして、強い薬を飲んでいないのに、今のところあーちゃんの睡眠や体調は安定していて、状態に合わせてこまめに薬を調整してくれている先生に、ワフウフさん姉妹は感謝の気持ちでいっぱいです。

自前の眉毛がほとんどないあーちゃん。最近、口紅を塗るくらいしか自分でメイクをしなくなったので、姉・なーにゃんが眉毛を描いてあげたのですが……。

なーにゃんが描いたのは、流行に合わせた太めの眉毛。それがあーちゃんは気に入らないようで、消したいと大騒ぎ。あーちゃんは昔から、叶恭子様のようなファビュラスな細い眉毛が好みなのです。

別の日。あーちゃんはヒョウ柄のスカートを「地味だけどステキ」だと言って手に取っていました。

ヒョウ柄は決して地味ではないだろうと言うと……。

「ヒョウ柄」という単語が、伝わらないようでした。名称も忘れるほどなのに、相変わらず派手な柄が好きなのは変わっていなくて、不思議です。

先日、あーちゃんの部屋にいたとき、施設長が来て「洗濯ネットをもう1つ持ってきてもらえますか?」と聞かれました。

「わかりました」と言ってドアを閉め、あーちゃんに「洗濯ネットを買いに行こう」と言ったら……。

「持ってるからいらない」と即答。えっ……!?

今、施設長から言われたばかりだけど……。

なんと、あーちゃんは、たった今目の前で私と施設長が話していたことを忘れていたようでした。

会話を終えて、30秒もたっていないのに……。過去一の速さに、ただただ驚くばかりです。
自分では、口紅を塗る以外のメイクはほとんどしなくなったあーちゃん。そこで、姉・なーにゃんが出かける前に眉毛を描いてあげたのですが……。なーにゃんが描いた太めの眉毛が気に入らないあーちゃんは、消したいと大騒ぎ。自前の眉毛がほとんどないため、描かないと眉毛なしの状態になりますが、太い眉よりは眉毛がないほうがいいみたいです。
また、別の日には「地味だけどステキね」と言いながら、あーちゃんがヒョウ柄のスカートを手に取っていました。ヒョウ柄は地味ではないだろうと私が言うと、どうやら「ヒョウ柄」という柄の名前を忘れてしまった様子。記憶はどんどんなくなっていくのに、眉毛といいアニマル柄といい、認知症になる前からの好みが変わらないのはなんだか不思議です。
さらに別の日。私があーちゃんの部屋にいるときに、ちょうど施設長さんが部屋にやってきて「洗濯ネットをもう1つ持ってきてもらえますか?」と言いました。「わかりました」と言ってドアを閉め、あーちゃんに「じゃあ、今日は洗濯ネットを買いに商店街に行こう」と言うと、「持ってるからいらないわよ」とあーちゃんは涼しい顔で答えました。施設長さんとの会話が終わってから、30秒もたっていないのですが……。過去一の速さで記憶がなくなっていて、ビックリしてしまいました。
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記憶がなくなっていても好みが変わらないのは、オシャレが大好きだったあーちゃんらしいと思いました。認知症が進行していても、こうやってあーちゃんらしさが垣間見える瞬間があるのは、うれしいですよね。でも、記憶力のほうはかなり落ちているようなので、施設での生活に影響がないか、少し心配です。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
著者/ワフウフ
昭和を引きずる夫、成人した息子娘を持つ50代主婦。実母のアルツハイマー型認知症発覚をきっかけに備忘録としてAmebaでブログを始める。2019年一般の部にてAmebaブログオブザイヤー受賞。
2023年4月、書籍「アルツフルデイズ 笑いと涙の認知症介護」発売。

