●法務省を「牛耳る」検察庁
──法務省の組織図を見ると、検察は法務大臣の下にある「特別の機関」と位置付けられています。
本来、法務省の下位、あるいは外部に位置付けられるはずの検察庁が、検察官人事を通じて法務省を事実上牛耳ることで、法令上認められた以上の権限を持つことが許されてしまっています。
法務省を法務大臣はじめ内閣総理大臣などの政治的影響から距離を置かせるという建前は理解できますが、その弊害は今回の再審法改正においては非常に大きいと考えています。
●刑事手続だけでなく立法にも関与する検察官
──刑事事件に関する法律を作る「法務省刑事局」に、本来はその法律に従う側である「検察官」が多く入っている、ということですね。
その通りです。刑事手続を定める立法過程に検察官が強く関与する状況を、論文では「検察官主導型の刑事司法(広い意味での検察官司法)」と表現しました。
これまで「検察官司法」という言葉は、捜査・起訴・公判における検察官の権限の広さや強さを意味し、刑事司法における主導権を検察官が握るという実態を示してきました。
しかし実際には、それだけでなく、法務行政や立法立案の段階から、検察官が組織的に関与しているのです。

