【闘病】『大腸がん』になって後悔。もしも「1年早く検査をしていれば…」

【闘病】『大腸がん』になって後悔。もしも「1年早く検査をしていれば…」

年々増加する大腸がん。マリンさん(仮称)も職場の健康診断がきっかけで発覚した、その内の一人です。愛犬の看病や別れと重なり、なかなか治療に前向きになれなかったマリンさんに、職場復帰できるまでの回復に至った経験を語ってもらいました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2025年5月取材。

マリンさん

体験者プロフィール:
マリン(仮称)

神戸市在住の1969年生まれ。犬2匹と暮らしている。診断時も現在も大学職員として働いている。2024年に大腸がんを発症。同年10月にがんと診断され、11月に最初の手術、12月に2回目の手術を受ける。今年の1月から仕事に復帰。現在は3カ月に1度、病院で検査を受けている。

小出 紀正

記事監修医師:
小出 紀正(医師)
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。

職場の先輩から背中を押され検査をすると…

職場の先輩から背中を押され検査をすると…

編集部

はじめにマリンさんの現在の体調はいかがですか?

マリンさん

元気です。術後4カ月間くらいは腹部の膨満感がひどかったですが、最近は落ち着いてきました。周りにも病み上がりとは思えないほど色艶がいいと言われます。元気な分、よく食べるので太ってきたのが悩みです。

編集部

マリンさんが大腸がんの件で、病院を受診されたきっかけは何でしたか?

マリンさん

症状としては、血便が続いていました。その後、職場の健康診断の便潜血検査で要精密検査になりましたが、そのとき愛犬が亡くなったことも重なり、病院へ行くのを迷っていました。そんなとき、職場の先輩に「さっさと検査行って!」と強く背中を押され、やっと近所のクリニックを受診しました。あのお叱りがなかったら、受診しなかったかもしれません。

編集部

クリニックでの診断時、医師からはどのような説明がありましたか?

マリンさん

最初のクリニックでは「ポリープが13個ほどあり、7つは切除したが、大きいものは外科的な処置になる。残りのうち2つはおそらく『がん』でしょう。病院を紹介するので、どこにするか急いで決めてください」と言われました。

編集部

次の病院ではどのような治療をしましたか?

マリンさん

11月に消化器内科にて内視鏡でS状結腸のがんを切除。病理検査の結果粘膜を超えていたので、12月は外科でその部分と横行結腸の手術を受けました。同時手術で2カ所をそれぞれ切ってつなぐので、思ったより大がかりな手術になりました。腹腔鏡手術だったので、その後の回復は早かったです。

編集部

病気になった原因や、生活での注意点はありますか?

マリンさん

私の場合はポリープの多発タイプで、ほぼ体質と遺伝と言われました。家族歴があったので、もう少し危機感を持って定期的に検査をするべきでした。あと1年早く検査していれば、少なくとも内視鏡手術だけで済んでいたかもしれない、もしかしたらがんの手前で済んでいたかもしれないと後悔しています。

頑張る気持ちを生んだ温かい対応

頑張る気持ちを生んだ温かい対応

編集部

治療には前向きになれましたか?

マリンさん

正直、最初は全く前向きになれませんでした。最愛の愛犬との別れで、眠れない毎日が続く中での病気の発覚だったので、「死んだらルピちゃん(愛犬)に会えるんじゃないか」「でも会えなかったら…」と心が揺れていました。大腸の検査や治療の前準備では、大量の下剤を無理やり飲んでは吐いてしまっての繰り返しで、とにかくつらくて苦しかったです。家にはもう一匹(当時)13歳のシニア犬がいるのですが、その子を見送るところまで生きられればいいかなと思っていました。

編集部

周りの反応はどうでしたか?

マリンさん

大腸がんになったことで、自分は人に本当に恵まれていることを改めて感じました。職場からは「仕事なんて三の次、四の次でいい。とにかく必要なだけいくらでも休んでいいから」などと本当に温かい言葉をかけてもらい、優しさが身に沁みました。

編集部

入院中の様子をお聞かせください。

マリンさん

消化器外科の先生は毎朝必ず様子を確認しに来てくれました。また、消化器内科の先生は、外科に移ってからも様子を見に来て励ましてくれました。一人ひとりの患者を真剣に見てくれているのだと思うと、私も元気になって、少しでも喜んでもらいたいという気持ちになりました。

編集部

医師たちの温かい対応で前向きになれたのですね。

マリンさん

ほかにも、毎日リハビリの指導をしてくれたPT(理学療法士)さんから「今までずっと走り続けてきたのだという気がします。今が休むときです」と言われ、立ち止まることを知らなかった自分に気づかされました。私は「病気になってよかった」と言えるほど器の大きい人間ではないけれど、それでもこの出来事に意味はあったと感じます。

編集部

大腸がんと診断後、心境に変化はありましたか?

マリンさん

健康な人と自分の間に薄い膜みたいなものを感じるようになりました。がんの人とがんじゃない人の境界線というか、何か別世界に置かれているような気持ちになり「この人たちはがんじゃないんだよな」と考えると少し惨めでした。一方で、担当してくれた医師たちには「今、このタイミングで見つかって本当にラッキーだ」「よくぞ、病院に来てくれた」と言われ、「そうなのか、私は運がいいのか」と思ってみたり、しかし万が一を考えて海洋散骨の資料を取り寄せてみたり、自分でも何がしたいのかよくわからない、まさに「複雑な心境」でした。

配信元: Medical DOC

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